2025年度の第38回社会福祉士国家試験について、試験の概要や受験に向けて役立つ情報をまとめています。

この記事の要点まとめ
  • 第38回の社会福祉士国家試験日は2026年2月1日実施予定
  • 2024年度から、新カリキュラム科目での試験問題に変更になった。
  • 試験の難易度や合格基準点について解説。

社会福祉士国家試験の概要

第37回社会福祉士国家試験の概要をまとめています。
試験日程や受付期間などよく確認して早めに準備をしておきましょう。
合格率や合格基準点も紹介しているので合わせてご確認ください。

試験日・時間

第38回社会福祉士国家試験の試験日と日程は以下のとおりです。

試験日試験時間
2026年2月1日(日)午前(共通科目)
10時00分~12時20分

※弱視等受験者(1.3倍) 
10時00分~13時05分

※点字等受験者(1.5倍) 
10時00分~13時30分
午後(専門科目) 
14時10分~15時35分

※弱視等受験者(1.3倍) 
14時40分~16時35分

※点字等受験者(1.5倍) 
14時40分~16時50分

午前の共通科目が140分、午後の専門科目が85分の試験で、1日がかりの試験となっています。
共通科目が免除となる場合など、受験者によって試験の開始時間も異なるため、事前によく確認をしましょう。

試験科目・内容

試験科目は以下のとおりです。

共通科目専門科目
●医学概論
●心理学と心理的支援
●社会学と社会システム
●社会福祉の原理と政策
●社会保障
●権利擁護を支える法制度
●地域福祉と包括的支援体制
●障害者福祉
●刑事司法と福祉
●ソーシャルワークの基盤と専門職
●ソーシャルワークの理論と方法
●社会福祉調査の基礎
●高齢者福祉
●児童・家庭福祉
●貧困に対する支援
●保健医療と福祉
●ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
●ソーシャルワークの理論と方法(専門)
●福祉サービスの組織と経営

共通科目12科目、専門科目7科目の計19科目です。
午前に共通科目、午後に専門科目が実施され、共通科目は精神保健福祉士国家試験と共通なので、精神保健福祉士を取得している場合は免除されます。

試験会場

試験は、以下の24試験地で実施されます。

北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
出典:試験概要 社会福祉振興・試験センター

受験する都道府県は申し込みの段階で選択でき、住んでいる都道府県以外でも選択可能です。
また詳しい試験会場については、受験票に記載されているので、確認しましょう。

受験資格

社会福祉士国家試験の受験資格は12通りありますが、大きく分けると以下の4通りとなります。

  • 4年制の福祉系大学で指定科目を履修し卒業する
  • 福祉系の短期大学で指定科目を履修し卒業した後、必要な期間相談支援業務に従事する
  • 基礎科目の履修又は必要な実務経験を満たした上で短期養成施設(6ヶ月)を卒業する
  • 必要な実務経験等の条件を満たした上で一般養成施設(1年)を卒業する

大学や養成施設の卒業については、卒業見込みでも受験可能です。
詳しい受験資格については社会福祉振興・試験センターの資格取得ルート図をご確認ください。

受験手数料

社会福祉士国家試験の受験手数料は以下のとおりです。

  • 社会福祉士のみ受験する場合:19,370円
  • 社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する場合:36,360円
    (社会福祉士16,840円、精神保健福祉士19,520円
  • 社会福祉士の共通科目免除により受験する場合:16,230円

出典:試験概要 社会福祉振興・試験センター

精神保健福祉士国家資格を持っている場合は、共通科目が免除となり受験料も安くなっています。

また、社会福祉士と精神保健福祉士は同時に受験することも可能で、精神保健福祉士の専門科目は前日の2026年1月31日(土)に実施されます。

受験申込受付期間

第38回社会福祉士国家試験の受験申し込み受付は以下の通りです。

申込期間:2026年9月4日(木)~10月3日(金)

過去に社会福祉士国家試験を受験し、受験資格の証明書を提出している場合はインターネットによる申し込みができます。

初めて受験する場合は『受験の手引き』を取り寄せ、受験資格を証明する書類を提出する必要があります

受付期間を過ぎると受験ができなくなるため、申し込みは早めに行うようにしましょう。

合格発表

第37回社会福祉士国家試験の合格発表日は以下の日程で行われる予定です。

合格発表日:2026年3月3日(火)

社会福祉振興・試験センターのホームページにて合格者の受験番号が掲載されます。

2026年3月6日(金)結果通知発送がされるので、社会福祉士登録を行いましょう。
試験に合格しても登録をしなければ社会福祉士を名乗ることはできないので、必ず登録するようにしてください

合格率

社会福祉士の合格率は30%程度と言われていました。
ただ、2023年度、2024年度の社会福祉士の合格率は50%を超える結果となっています

難易度が下がる傾向にある、カリキュラム変更直前の第36回の合格率は58.1%と大幅に合格率が上がりましたが、新カリキュラムになった第37回でも56.3%と非常に高い合格率だったため、カリキュラム変更とは関係なく、社会福祉士の合格率は上昇傾向です

合格率や合格基準点は、過去推移を参考に以下の記事で詳しく解説しております。

社会福祉士の合格率の詳しい記事はこちら

新カリキュラムでの社会福祉士国家試験の変更点

新カリキュラムが反映された、前年度の第37回社会福祉士国家試験での変更点を解説します。
変更点を理解して試験対策に役立てましょう。

『地域福祉と包括的支援体制』の創設

第37回社会福祉士国家試験では、地域共生社会に関する科目として『地域福祉と包括的支援体制』が創設されました
『地域福祉と包括的支援体制』は、旧カリキュラムの「地域福祉の理論と方法」と「福祉行財政と福祉計画」を基に創設された科目で、以下の内容が出題基準です。

  1. 地域福祉の基本的な考え方
  2. 福祉行財政システム
  3. 福祉計画の意義と種類、策定と運用
  4. 地域社会の変化と多様化・複雑化した地域生活課題
  5. 地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制
  6. 地域共生社会の実現に向けた多機関協働
  7. 災害時における総合的かつ包括的な支援体制
  8. 地域福祉と包括的支援体制の課題と展望

出典:試験科目別出題基準

ソーシャルワークに関する科目の再構築

ソーシャルワークに関する科目では、旧カリキュラムでは専門科目であった「相談援助の基盤と専門職」と「相談援助の理論と方法」が、共通科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職」と「ソーシャルワークの理論と方法」そして専門科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)」と「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」に拡充されました。

共通科目では、社会福祉士と精神保健福祉士が共通で学ぶべきソーシャルワークの基礎が出題され、専門科目では、社会福祉士として、より専門的で実践的な内容が出題されています。

新科目『刑事司法と福祉』の創設

第37回社会福祉士国家試験で創設される『刑事司法と福祉』は、旧カリキュラムの「更生保護制度」を基にした新科目です。

「更生保護制度」は、社会福祉士の専門科目でしたが、『刑事司法と福祉』は社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目となっています

旧カリキュラムの「更生保護制度」を中心に、司法領域における社会福祉士の役割についての内容で、出題基準は以下のとおりです。

  • 刑事法における近年の動向とこれを取り巻く社会環境
  • 刑事司法
  • 少年司法
  • 更生保護制度
  • 医療観察制度
  • 犯罪被害者支援

出典:試験科目別出題基準

必要な実習時間の変更

社会福祉士の国家試験受験に必要な実習時間が、新しいカリキュラム(主に2021年度以降の入学者対象)から変更されました。

以前は180時間以上の実習が基本でしたが、新カリキュラムでは、より実践的な力を養うため、原則240時間以上、かつ異なる機能を持つ2か所以上の施設等での実習が必要となっています。これにより、多様な福祉ニーズへの対応力や、他機関との連携力を高めることを目指しています。

なお、旧カリキュラムですでに受験資格をお持ちの方や、旧カリキュラムで履修中の方は、改めて新しい基準の実習を行う必要はありません。

問題数の変更

第37回社会福祉士国家試験では問題数は129問と、それまでの150問より21問少なくなっています
そのため合格基準点も前年度の90点から78点と下がります

しかし、合格基準点は試験の難易度によって補正されるため、より高い点数を目指すことが重要です。

総試験時間も225分となっていて、前年度まで240分よりも若干短くなっています

過去に社会福祉士国家試験を受験したことがある場合は、過去の時間配分と若干異なることも考えられます。
模擬試験を受けるなどして、新カリキュラムの問題数に慣れておくと安心ですね。

まとめ

社会福祉士国家試験について解説しました。
社会福祉士は専門性の高い資格であり、取得していると福祉業界での就職・転職には有利です。

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