ケアマネは毎日忙しそうというイメージはありませんか?
担当件数を多くもっている方や困難事例などに対応しているケアマネは、時間に追われているのも事実です。
時間を効率よく使えるように、近年では残業の見直しや在宅勤務フレックス勤務など様々な形が導入されている居宅介護支援事業所も多いです。

ここでは、仕事とプライベートの両立のためにどのような働き方があるのかを解説していきます。

ケアマネの仕事内容についてはこちら
この記事の要点まとめ
  • ケアマネジャーの残業時間や業務内容が分かり、1日のスケジュールを事例を交えて紹介
  • ケアマネジャーの働き方の改善ポイントを解説
  • ケアマネジャーが仕事とプライベートを両立させるための取り組みを紹介

ケアマネの働き方の実態は?残業時間や業務内容について

ケアマネはどのような働き方をしているのか、ケアマネ業務のタイムスケジュールをご紹介します。

多岐にわたるケアマネの仕事内容と時間配分の現状

ケアマネの仕事は、1か月単位でルーティン化されています。

ケアマネの1ヵ月のスケジュール例

【月初】:実績入力

【月初~月末】

  • モニタリング(基本的に自宅訪問)
  • ケアプラン作成
  • サービス担当者会議の開催
  • サービス調整
  • 新規ケースの契約
  • 退院前カンファレンスへの参加
  • 利用者様、ご家族の相談支援
  • 対応するごとに記録

【月末】提供票作成

業務は多岐にわたりますが、やること自体はルーティンなので、慣れてくれば要領よく仕事していくことができます。
時間配分では、利用者様宅への訪問、事務所で記録やケアプランの作成等の事務作業は半々ぐらいが実態です。

事務所にいたら仕事が進みそうですが、事務所にいると利用者様、ご家族、サービス事業所からの電話が頻回にかかってくるため、記録やケアプランの作成が思うように進まない、ということはよくあります。

1日のスケジュール例と時間管理のポイント

ケアマネの一日のスケジュールをご紹介(9時〜18時勤務の場合)。

時間業務内容
9:00ミーティング
9:15事務作業
(電話対応、記録作成、ケアプラン作成、提供票の作成等)
9:45外出(訪問先へ移動)
10:00利用者様の自宅へ訪問
(モニタリング)
10:45次の訪問先へ移動
11:00利用者様の自宅へ訪問
(モニタリング)
12:00事業所へ戻り、休憩
13:00事務作業
(午前中のモニタリング記録、事務所不在時の電話対応等)
13:30 外出(訪問先へ移動)
14:00病院で退院前カンファレンスに参加
16:00事業所へ戻り、事務作業
(電話対応、カンファレンス記録の作成、サービス調整等)
18:00退勤

このように予定通りの訪問しかない場合は、事務作業を含む予定を組みやすいですが、予定通りの訪問のみ、電話相談がない、という日はほぼありません

【急な対応が必要な例】
  • 介護していたご家族が急に入院することになり、ショートスティの調整を急遽しないといけなくなった
  • 転倒して骨折したので急いでサービス事業所、病院へ連絡したり、情報を送らないといけない

ケアマネは何もなければ定刻で仕事を終えられますが、なかなかそうはいかないです。
急な対応をすることを予定に入れて業務を行い、日頃から、前倒しで業務を行ったり、記録を溜めないようにすることが、残業時間を減らすために大切になってきます。

また、ケアマネで意外と時間を使うのが、利用者様宅への移動時間です。
利用者様、ご家族の予定が第一ですが、可能な範囲で、近くの利用者様の訪問をかためることで、時間短縮することができます。

平均的な勤務時間と残業時間

事業所へ出勤するケアマネの場合、勤務時間は、平日の8時30分〜17時30分、9時〜18時というところが多いです。
ケアマネは女性が多く、仕事と子育てを両立している人が多いことやサービス事業所の受付時間が、平日のこの時間帯である事業所が多く、事業所とのやり取りがしやすいこともあり、この時間の勤務が多いです。

残業時間は全く残業しない、という人もいれば、ほぼ毎日2時間している人もいたりと、事業所、ケアマネによって様々です。

主に以下のようなケースで残業が発生しやすくなります。

  • 担当ケースに動きがあるとき
  • 困難なケースを担当しているとき
  • 月初の実績を入力するとき
  • 保険者から監査等が来るとなったとき

忙しくなるときは、毎日残業しないと仕事が終わらないこともあります。

しかし、普段、時間のあるときにできることをしておく、計画的に仕事をしていくことで、ある程度の残業は減らすことができます

働き方の実態を踏まえた効率化の必要性

ケアマネは、担当利用者様が体調を崩され、急な対応が必要になったり、新規ケースで癌末期の方を担当することになった場合等は、相談を受けてできるだけ早く訪問し、サービス調整をしなくてはいけなかったりと、急な対応をすることが多々あります。

介護保険は、ケアマネが作成するケアプランがなければ保険適応できません。
ケアマネが早く対応をすることで、利用者様が少しでも早く安心して生活できるようにサービス調整をしていく必要があります

そのため、限られた時間の中、効率的に仕事をしていく必要があります。

ケアマネの働き方が「きつい」と感じる理由

介護職は「身体がきつい」、ケアマネは「精神的にきつい」と言われていますが、どのような部分が精神的にきついのかご紹介します。

業務量の多さと複雑さによる時間的圧迫

ケアマネ業務は多岐に渡ります。
ケアプランの作成、サービス調整、モニタリングをいったケアマネジメント業務以外にも、介護保険制度では補えない部分の調整など様々です。

例えば、以下のようなケースでは、線引きが難しい部分の支援を頼まれたり、介護保険をはじめ、医療保険や障害サービスのことを調べたりと、一生懸命にやればやるほど、業務量が多くなってしまうことがあります。

  • 障がいサービスと併用はできないか検討
  • 本来ケアマネの仕事ではないのに身寄りのいない方を担当していると入院先の病院から家族のように呼び出される
  • 緊急時に救急車への同乗を求められる
  • 主治医や地域住民からどうしようもないことをどうにかしてほしいと言われる

ある程度割り切ること、ケアマネの業務外のことは断る等しないと、いくら時間があっても足りないということもよくあります。

利用者の状況変化や緊急時対応に精神的負担

ケアマネは、予定外のことに備えて、毎日、業務をこなしていく必要があります。

サービスに変更がなければ、ケアマネは担当ケースのモニタリングやケアプランの作成のみを行えばよいですが、ケアマネが担当しているのは、要介護(要支援)状態の高齢者であるために、利用者様の状況変化、緊急時対応を行うことになります。

利用者様の状態が変わり、急遽ケアプランを見直すことになれば、サービス調整、予定外のサービス担当者会議、それに伴う事務作業、ケアプランの作成を早急に行う必要があります。

介護保険は、ケアマネのケアプランがないと利用できないため、ケアマネがゆっくりしていると、その分、利用者様に迷惑をかけてしまうことになるため、迅速に対応していくことが求められます。

また、緊急時対応の場面、例えば、ヘルパーが予定通り訪問するが、出てこない、家の中で倒れているのではないか、というときにケアマネに連絡が入り対応していかなければなりません。

ご家族へ連絡したり、救急要請すべきか検討したりと通常業務を行いながら、緊急時対応もしていくため、時間的にも精神的にも大変なこともあります。

多職種との連携における調整業務の負担

ケアマネは、主治医やサービス事業所との連携が欠かせない中、まだまだIT化が進んでいないこと、個人情報保護のために利用できるツールが限られていることもあり、電話やFAXでのやり取りも多いです。

そのため、伝えたいことがあるときに、電話しても相手が不在で伝えられなかったりと、電話やLINEで一言伝えたら済むことでも時間がかかることがあります。

担当者会議の日程調整場面では、利用者様やご家族、複数の事業所の担当者に空いている日時を確認して、日程調整していきます。
グループラインのようなものがあれば、簡単に終わるところが、FAXや電話で調整しないといけないことも多々あり、程調整するだけでも時間がかかったりと多職種との連携において調整業務も負担のひとつです。

記録業務や事務作業の煩雑さ

ケアマネには、運営基準が定められています。

例えば、以下のようなケースでは、しっかりと行っているかは、「記録」で確認されます

  • 要介護の利用者様の場合、毎月自宅に訪問しなければいけない
  • サービス開始前には、必ず担当者会議を行わなければならない
  • ケアプラン作成時には主治医に意見を求めなければならない
  • サービス事業所から、報告書をもらわなければいけない

ケアマネには、説明責任があるため、〇〇を説明した、という記録等もしっかりと残していかなければならず、ポイントを押さえて記録しておかないと、監査のときに引っ掛かり、ケアプラン代を返さないといけない、という事態になることもあります。

そのため、直接利用者様の支援にはならない、記録業務、その他、書類をきっちりとおいておかないといけないため、事務作業は煩雑で、ケアマネの仕事の大きな部分を占めます

ケアマネは多様な働き方が可能?在宅勤務・フレックスについて

ケアマネはどのような働き方があるのでしょうか?
ここでは、様々な勤務形態や子育てや介護と両立しているケアマネを紹介していきます。

在宅勤務(リモートワーク)のメリット・デメリット

ケアマネジャーの在宅勤務は一部可能です。

ケアプラン作成、給付管理、サービス事業者との連絡調整などの事務作業は、ICTツールを活用して、在宅勤務を取り入れるなど、ハイブリッドな働き方を導入する事業所が増えています

在宅勤務のメリット
  • 利用者訪問の記録入力作業を移動中や自宅で行えるため、通勤時間や空き時間の活用ができる
  • 子育てや介護中の方も事務作業が自宅で行えるため仕事がしやすい
  • 訪問の手間が省けるので、利用者様やご家族との時間調整がしやすい。
    また、担当者会議もリモートで行うことで、日程調整がしやすく参加者も増える
  • プライベートの時間が確保しやすい
在宅勤務のデメリット
  • 在宅と出社が混在することで、急な対応に対して、調整しにくい。
  • 職場に出社しないことで、職場内の人間関係が構築しにくく、相談しにくい。
  • 仕事とプライベートが曖昧になり、無理をして働いてしまうことがある。

フレックスタイム制や時短勤務の導入について

ケアマネの業務は、毎日が忙しいということは少なく、忙しい日と余裕がある日に分かれていることが多いです。

急に何かトラブルが起きたり、訪問件数が多い日は忙しくなりますが、逆に訪問件数が少なく、何も連絡がなく、事務作業のみという日もあります
そうしたことから、フレックス制や時短勤務を導入することで、忙しい日は多めに働き、予定が少ない時は早めに帰宅したり、休んだりできるように環境を整えている事業所もあります

このような制度を導入することで、職員の負担やストレスが軽減したり。残業などを減らしてプライベートの充実を図ることができます

【事例紹介】子育てや介護と両立しているケアマネの働き方

ここでは、子育てや介護と両立しているケアマネさんの事例を通して働き方を解説します。

Aさん(30代 子供1人) 

ケアマネは日中の勤務のため、朝保育園に送ってから出社をします。

日中は、保育園に預けているため、仕事に集中しています。

時短勤務を利用しているため、16時半に退社し、ゆっくりとお迎えに行ったり、緊急の案件や事務作業が残っていた場合は、少し残ることもあります。

17時半までには、迎えに行き家に到着することがほとんどなので、そこからはゆっくりと過ごします。

子供が熱を出した時は、必要な訪問だけおばあちゃんに預けて、家から直接行き、記録などは自宅で行い、子供の世話をしています。

Bさん(60代)

介護が必要な母がいますが、日中はデイサービスを利用しています。
母の介護もあるため週3回の勤務にしています。

上司は状況を理解してくれているため、担当件数を少なめにして、無理のない範囲でケアマネ業務をしています。
何かあった時に他の人にもお願いできるように、記録や大変なケースなどは記録したり、口頭で伝達しています。定時で帰宅できることがほとんどです。

システムの導入がされていますが、上手く使いこなせず、同僚に聞いたり調べたりしながら葛藤しています。

多様な働き方を支援する制度と今後

ケアマネで仕事をする方は、様々な環境や状況があり、1人1人異なります。
そうした中で、「正社員で働きたい」「パートで働きたい」などの思いも様々です。
それぞれの働き方や収入希望に応じて雇用形態が選べるようになっています。

また、上記で解説した通り、フレックス制やリモートワークなど、状況によって働き方を変えることができるように環境も整備されてきています
事務作業も、システムにより簡素化され、より働きやすい状況となっております

一方で、複雑な家庭環境など困難なケースも多くあることから、ケアマネの負担は減っていないと感じている方も多くいます

今後は、事務作業や働き方の簡素化に加えて、業務の見直しにより、1人のケアマネが過度な負担とならないように役割分担や情報共有を通して把握していく必要があります。

ケアマネが働きやすい環境となることで、より質の高いマネジメントが可能となるため、利用者様にとってもプラスの影響があります。
その点を踏まえて、ケアマネの働き方、業務のあり方、役割分担などをいま一度考えていく必要があるでしょう。

ケアマネの働き方を改善するための対策

ケアマネの働き方を改善するためには、人員はもちろん業務量の負担がどの程度かを把握し、他のスタッフと担当を交代するなど効率よく仕事をすることが大切です。

スタッフの得意を活かしながら、業務の配分を考えたり、効率化によるITツールを用いることで事務作業の負担軽減になります

ここでは、ケアマネの働き方を改善するための対策を解説します。

人員配置の適正化と業務分担の見直し

居宅ケアマネの担当件数は、1人あたり35件が基準で40件未満が多いですが、中には40件ギリギリを担当しているケアマネや40件以上を担当する方もいます
件数の多さも問題ですが、1件あたりどのくらいの時間を要するかを算出する必要があります

困難事例ばかりであると例え30件ほどでも、多くの時間を要しますし、逆に40件担当があっても、介入があまり必要でないケースばかりであると、余裕があります。

こういったことから、変なケースを他のスタッフと変わってもらったり、ケースによって得意分野に合わせた役割分担をすることで、効率的に業務を回している事業所もあります。

相談体制の強化とメンタルヘルスサポートの導入

ケアマネの仕事は、1人では解決できないことも多いです。
上司に相談して、過去にあった事例を参考にしながら対応したり、行政や他の事業所などと協力していく必要があります。
困った時に気軽に相談できる職場環境が必要です。

また、ケースによって相談の場所が違うため、日頃から行政や事業所との関係を築いておき、何かあったらお互いに協力しあえる環境が重要です。

ケアマネは、中立の立場である以上、どうしても利用者様やご家族、事業所との間で板挟みになってしまい、心労してしまうことも多いです。

そういったことに対応するためのメンタルヘルスサポートの導入が必要です。

メンタルヘルスサポート導入事例
  • メンタルヘルスの研修を実施
  • スーパービジョン体制をつくる
  • カウンセリングが受けられる環境を作る

記録・事務作業の効率化ツールの導入と研修

ケアマネジャーは、利用者様やご家族と接して日々の内容を記録するだけではなく、様々な事務作業が必要であり、専門知識を必要とします。

月末月初にある給付管理を誤ると、利用者様や事業所にも迷惑がかかります。
そのため、細心の注意を行い、何度も書類を確認しているケアマネも多いです。
そうしたことから、事務作業の効率化を図るため以下の取り組みを行っている事業所もあります。

事務作業の効率化例
  • タブレットを用いて外出先でも情報を入れたり、確認・共有ができるようにする
  • 請求ソフトを使用して、書類の作成や請求業務を行い複雑な計算も自動で行うようにする
  • スケジュールを入力することで、1日の流れや時間が把握できるようにITの導入

情報共有の促進と連携強化による業務効率化と負担軽減

ケアマネは、休みの時や出勤後などにも利用者様やご家族、事業所から連絡が入ることも多いです。
このような時には、他のスタッフに任せるということもありますが、情報が分からないと対応に時間がかかったりトラブルになることも多いです。
日々の記録が重要なことと、職場でトラブルが起きそうな方を事前に予測して、周りのスタッフに伝えておくということが必要です。

ポイントを抑えた記録や伝達をして、情報を共有することで、他のスタッフが対応することが出来ます。
記録は、パソコンで入力していきますが、外出先ですぐに入力し、作業を完了できるようにタブレット端末などを使用している事業所もあります。

また、パソコンの入力作業に時間がかかる方も、今では音声で文字を打ってくれる機能もあるため、効率化を図れると共にケアマネジャーの負担軽減にも繋がります

まとめ 

いかがでしたか?ケアマネは業務の多忙さを指摘されていますが、働き方は様々です。仕事とプライベートを両立させることは難しくありません。

日頃から、職場の人間関係を構築し、記録や伝達をしっかりと行うことで業務をスムーズに回せます。また、ITを上手く活用することで、事務作業の負担や通勤時間をを軽減でき、残業を減らせます

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