これからケアマネを目指そうという方やケアマネで働いている方は「ケアマネ資格が廃止される」という噂が気になるのではないでしょうか?
ここでは、ケアマネ資格の今後について解説します。
目次
なぜ「ケアマネ 資格 廃止」という噂が出ているのか?
2018年の試験制度改正での受験者数減少と合格率低下
制度改正以前は、特定の業務の実務経験が5年以上かつ900日以上あれば、ケアマネの資格を取得できましたが、改正後は介護福祉士など国家資格を取得または、生活相談員や支援相談員など特定の資格を経験したのち、実務経験が3年以上で受験資格が得られるとなりました。
そのため、受験者数が大幅に減少しました。
また、合格率も低下したことから、「ケアマネ資格が廃止されるのか?」などの噂がでる要因と考えられます。
居宅介護支援事業所の管理者が主任介護支援専門員となった
改正前は、主任ケアマネの資格がなくても管理者となれましたが、改正後は管理者は主任ケアマネとする規定がなされました。(現在は経過措置中です)
管理者要件が厳しくなったので、「居宅やケアマネを少なくする方向で国は考えているのか?」と懸念が高まりました。
ケアプランを有料化にする議論がされた
ケアプランは現在無料です。
また、ケアマネは利用者様から一切お金はもらっていません。
しかし、近年の社会保障費の増大でケアプランを有料化にするべきだという議論があります。
ケアプランを有料にするほど、「社会保障費の増大が著しいのか?」「今後ケアマネは存続できるのか?」などの懸念が高まり、ケアマネ資格廃止の噂の要因の一つと考えられます。
2024年度介護報酬改正の主な変更点とケアマネへの影響
ケアマネで働いている方やこれからケアマネとして働きたいと考えている方は、最新の制度改正が気になっているのではないでしょうか?
ケアマネは、介護や福祉の分野での制度改正には敏感である必要があります。
ここでは、どのようなことが変更になったのかや変更により、ケアマネへの影響などを解説します!
居宅介護支援事業所の運営基準変更
ケアマネの業務効率化や利用者様に対してのサービスを向上させるために運営基準が変更されました。
ITを活用しながら、業務を改善し、よりサービスの質を上げることを目的とされています。
以下は、居宅介護支援事業所における運営基準変更ポイントです。
居宅介護支援事業所には、必ず「運営規定」「重要事項」の掲示が義務づけられています。
ITの推進もあり、令和6年度介護報酬改定によってインターネット上での「電子掲示」が義務づけられます。
1年間の経過措置があり、この1年の間にホームページや情報公表システムを利用していく必要があります。
主治医やサービス事業者の同意がいるなど、条件つきではありますが月1回のモニタリングをオンラインにすることが可能となりました。
ケアプランデータ連携システム活用し、事務職員配置の場合44件から49件まで拡大できるようになりました。
離れた場所の事業所でも、一定条件下で管理者の兼務が可能になりました。

主任介護支援専門員の配置義務
居宅介護支援事業所の管理者は原則主任介護支援専門員とされています。
現在は経過措置として令和9年(2027年)3月31日までは、介護支援専門員が管理者のままでも良いとされています。
主任ケアマネを管理者と決めた背景には、人材育成を推進することとサービスの質の向上を図るためだと言われています。
主任ケアマネが中心となり、他のケアマネに助言や指示、指導ができ、ケアマネとしての能力を向上させることと、ケアマネは人との関わりが多い中でトラブルも多いです。
その中で過度な精神的負担がかからないように、フォローしていく必要があります。
ケアマネが育っていくと、ケアマネ全体の資質が向上し、より良いサービスが提供できます。
多職種連携の強化
質の高いケアマネジメントを実現させるためには、多職種連携は欠かせません。
国が地域包括ケアシステムを推進していることから、医療から介護、見守りシステム、環境、人間関係などありとあらゆる社会資源を活用しながら、それぞれの専門職が役割を明確にし、利用者様が地域で暮らしやすい生活を実現させる必要があります。
取り組みとしては、以下のようなことが挙げられます。
- ICTを活用し、多職種間で情報を共有しやすくする
- カンファレンスで課題を共有し、各担当職員の役割を明確にする
- 社会全体で利用者様を支えるように、主任ケアマネなどが調整役となる。

ICT活用による業務効率化
現在では、記録をパソコンに打ち込んだり、FAXや電話のやりとりが主流となっていますが、業務の効率化や個人情報保護のためにICT活用が推進されています。
以下の通りです。
- アセスメントやモニタリングなどの記録を電子化
外出先ですぐに記録できるように、タブレットなどを使用して業務を効率化している事業所もあります。 - チャットなどを用いて、連絡調整をスムーズに
電話やFAXなどは、なかなか相手に繋がらないということが多いですが、チャットツールの活用で、時間があるときにそれぞれ確認・返信できるようになります。
このチャットは記録にも残るので、後々トラブルになることが少なくなります。 - 音声入力ソフトでパソコンでの作業を簡略化
音声入力ソフトも、高性能となっていて、文脈を読み取りながら漢字に変換してくれるシステムも多いため、入力作業もスムーズに行えます。 - PDFとして電子化する
個人情報の保護の観点や、電子化することでペーパーレスとなり、紙の保管の手間が省けます。
利用者本位の支援の重視
ケアマネは決して、自身の価値観や想いを強要してはいけません。
公正・中立である必要があり、利用者様の立場やニーズ、希望を最優先に考える必要があります。
利用者様一人一人生まれ育った環境や考え方、生活習慣や好みも違います。
そうした「個別性」を重視するとともに、利用者様が何を求めているのかを把握しながら、利用者様自身が望む生活が実現できるようにサービスの選択や決定をしていただく必要があります。
そのためには、社会資源を活用し、多職種との連携が欠かせません。
しかし、限られた仕事時間の中で、1人1人と長い時間向き合うことができません。
そうした中で、業務の改善や見直し、ITツールを活用し時間を最大限活用し、サービスの質を向上させることが重要となっています。
ケアマネの重要性について
ケアマネ資格の廃止は、噂は常に上がっていますが、現在では廃止予定は一切ありません。
ケアマネ資格を廃止することで弊害が出てくることも事実です。
ここでは、ケアマネ資格の重要性を紹介します。
超高齢社会に備えるためにサービス利用の適正化が必要
超高齢者社会を迎えるにあたって、国の社会保障費の増大が見込まれるでしょう。
そうした中で、必要なサービスを必要な量だけ利用者様に提供する、サービス利用の適正化が必要です。
サービス利用が適正かどうかは、利用者様の生活歴や環境、能力、地域の社会資源の有無によって大きく変わるため、ITである程度は可能であっても最終的な調整は専門職であるケアマネの力が必要であると思われます。
複雑になっている介護保険制度や社会保険の制度などをしっかりと学び、ニーズを満たす必要なサービスを提供する力が求められます。
独居高齢者が増えていくことから、見守りや安否確認が必要
独居の高齢者が増えることで、安否の確認ができない事例が多く発生しています。
独居の利用者様には、ケアマネはもちろん、民生委員など地域の方の協力も不可欠です。
そうしたことを働きかけるのがケアマネです。
ケアマネ以外の方でもできますが、ボランティアでするとなると大変な労力がかかります。
また、個人情報の面からも、個人で動くことは難しいです。
そこで、ケアマネが働きかけることで、地域で独居の高齢者を守るという仕組みが作れます。
ネットワークづくりには、ケアマネは必須です。
ICTではできない細かな情報収集が必要
現在は、ITを利用した安否確認やテレビ電話、緊急ボタンなどが発達しています。
このようなITを使用し、遠隔からのコミュニケーションや情報収集で時間が短縮されます。
しかし、対面でしか分からない細かな表情や異変、臭い、体調などは把握できません。
こうしたことで、離れた家族との遠隔のコミュニケーションだけではなく、直接会ってどのような状態かを見るというケアマネの訪問はとても重要です。

資格取得・維持のために今からできること
ケアマネは資格を取得するまでも大変ですが、資格取得後も自己研鑽に努めなければなりません。
介護保険の最前線として活躍するケアマネの気をつけるべきポイント、将来のキャリアプランを検討するポイントを解説します!
最新の制度情報を常に把握する
資格取得のために、受験資格の要件、応募時期等の最新情報を把握しておく必要があります。
以前は、介護の実務経験だけで受験資格を得ることができていた介護福祉士が、実務経験+介護福祉士実務者研修を修了しなくてはならなくなったり、介護の実務経験だけで受験資格のあったケアマネが、規定の国家資格に基づく業務経験5年または相談援助業務経験5年が必要になったりと資格取得の条件が変化しています。
そのため、受験資格を定期的に確認しておかなければ、いざ受験しようと思った時点で、受験資格がない、という状況を招く可能性があります。
また、ケアマネは更新研修を受ける必要があり、資格を維持するために、更新研修の申込期日の確認や受けておかなければいけない研修の情報等を把握しておく必要があります。

研修への積極的な参加と自己研鑽
ケアマネは、資格取得後も常に変わる介護保険制度や病気のこと、利用できる制度、ケアマネジメントの考え方等、学ぶことがたくさんあり、研修への参加や自己研鑽が大切になってきます。
学ぶことを怠ると、利用者様に不利益を与えてしまったり、知らない間に制度が変わっていて、法令遵守できておらずケアプラン代を返還する、という事態になる危険もあるため、積極的に自己研鑽していく必要があります。
職場内での情報共有と意見交換
利用者様に不利益が生じないように、職場内での情報共有や意見交換が大切です。
ケアマネは、基本的に1人の利用者様の担当は1人のケアマネが行います。
そのため、ケアマネの力量によって、支援に差が出てしまう可能性もあります。
そこで、支援に差がでないように事業所として、研修会を実施し、資質向上に努めたり、利用者様の状況や社会資源、制度が変わったこと等、幅広く職場内で情報共有したり、利用者様の状況については、他のケアマネから意見をもらうことが大切になります。
関係機関との連携強化
高齢者を支援するために、今後、益々、医療機関やサービス事業所等との連携が求められています。
連携が求められる理由は、医療、介護の支援が切れ目なく行えること、連携することで利用者様の生活の質の向上に繋がるためです。
人生会議(ACP)の普及、啓発が行われていることもあり、利用者様の最期をどのように過ごしたらよいか、ご本人、ご家族、関係機関と繰り返し話し合うことが求められるようになり、今までより更に、医療と介護との連携強化が求められています。
自身のキャリアプランを再検討する
ケアマネは、介護福祉士や社会福祉士等と違い、試験合格後、研修を受けて「介護支援専門員」となり、その後5年に1度更新研修を受けなければなりません。
研修は費用も時間も要するため、ケアマネとして更新していくのか、ステップアップし主任ケアマネを取得するのか、ケアマネの更新はせず、現場に戻るのか…他の資格に比べ、検討するタイミングがあります。
ケアマネは、とてもやりがいがある反面、なんでもケアマネへ言えばいいと思われていたり、業務外のことを求められることもあり、何でも屋のような状態になっていることもあります。
更新のタイミング等で、自身のキャリアプランを再検討し、自分で納得のいくキャリアプランを立てていきましょう。
ケアマネ資格の今後の将来性と新たな可能性
今後、介護需要は益々増えると予想されています。
そのため今後ケアマネの需要はさらに高まると考えられており将来性のある職業です。
しかし、ケアマネは、高齢化してきている上、ケアマネ試験の難易度は高く、新たな人材確保が課題となっています。
介護処遇改善手当の支給で、ケアマネより介護福祉士のほうが給料がよいところがあったり、何でも屋のようになっており、業務負担の割に給料が安いという点等も新たな人材確保が難しい点になっていると聞きます。
介護保険制度の改正で、担当できる件数が増えたり(事業所の収入アップに繋がる)、AI導入により少しずつ効率的に業務を行える環境が整えられつつあるため、今後、ケアマネの負担軽減、給料が改善されることを願います。
まとめ
「ケアマネ資格が廃止されるのではないか?」という情報に、影響を受けている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現状では、ケアマネ資格が廃止される予定はありません。
しかし、ケアプランの有料化やITを活用した業務の改善やサービスの質の向上など、ケアマネを取り巻く環境は大きく変化すると予測されます。
そうした中で、社会福祉の制度や社会資源、地域の環境や、行政や事業所、病院との連携の仕方を学んで経験していくことで、制度が変更されても焦らず取り組むことができます。
ITが発達している今だからこそ、ITを活用しながら専門職としての力を身につけていく必要があります。
事務作業や記録、情報収集などITが得意な箇所は活用し、人間でしか分からない細かな表情や仕草、言葉、体調や想いを汲み取る力で専門性を発揮することが重要です。
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