ケアマネジャーにとってインテーク(初回面接)はご利用者との信頼関係を構築する最初の重要な仕事ですが、「何から聞けばいいかわからない」「信頼関係の築き方に自信がない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インテークの準備や当日の流れ、確認すべき質問項目について解説しています。
インテークのコツを理解することで、苦手意識を自信に変えられますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
そもそもケアマネのインテークとは?目的とアセスメントとの違い
インテークとは、ケアマネジメント業務の第一歩となる初回の面接です。
ここでは、インテークの目的や混同されがちなアセスメントとの違い、面接で利用者様側から見られているポイントについて詳しく解説します。
インテークの最大の目的は「利用者・家族との信頼関係の構築」
インテークの最大の目的は、利用者様やご家族との信頼関係を構築することです。
はじめて会うケアマネに対し、多くの方は緊張や以下のような不安を抱いています。
- どんな人だろうか?
- 悩みを理解してくれるだろうか?
- この人に任せて大丈夫だろうか?
これらの不安を和らげ、安心して話せる関係性を築くことが、これからの支援の土台となります。
信頼関係がなければ、本当の悩みや要望(主訴)を引き出すことは難しく、表面的な情報だけで立てたケアプランは、利用者様の真のニーズを満たせません。
まずは、相手の話に真摯に耳を傾け、共感的な姿勢で「あなたの味方です」というメッセージを伝えることが何よりも大切です。
インテークとアセスメントとの違いは?
インテークは「入口」、アセスメントは「課題分析」です。
どちらも情報収集を行いますが、それぞれ目的とタイミングが異なります。
インテーク | 支援の入口となる初回面接信頼関係を築きながら、サービス利用の意向や基本的な状況を確認する |
アセスメント | インテークを経て、契約後に実施される詳細な課題分析ケアプラン原案を作成するために、生活全般の状況や心身の状態、ご本人やご家族の意向などを分析・評価する |
インテークでは、話を聴く・関係性を築くことに重きを置いています。
一方アセスメントは、ADLやIADLの具体的な状況、服薬や認知機能など、項目に沿った情報を収集・整理し、課題を分析します。
▼なお、アセスメントに関する詳しい解説は、別記事『ケアマネジャーのアセスメントの重要性と進め方・記入例』をご参照ください。
インテークでケアマネが見られているポイントは?
インテークの場では「このケアマネは信頼できるか」という点を見られています。
第一印象は大切です。私たちが思う以上に、人柄や振る舞いは注意深く観察されています。
- 身だしなみに清潔感はあるか?
- 社会人としてのマナーはあるか?
- 言葉づかいは穏やかでていねいか?
- 専門用語を並べずわかりやすく話してくれるか?
- 話をさえぎらず、最後まで聞いてくれるか?
どんなに優れた知識や経験があっても、相手に「この人になら相談したい」と思ってもらえなければ、支援のスタートラインに立つことは難しいものです。
会話のなかで安心感や「話しやすさ」を与えられるよう、意識できると良いでしょう。
インテークの事前準備から当日までの流れ
インテークの成功には、事前の準備と当日の対応力が不可欠です。
しかし、経験が浅いうちは、何を準備すればよいかわからないこともあるでしょう。
ここでは、安心してインテークに臨めるよう、事前準備から面談当日までの流れを3つのステップに分けて解説します。
STEP1:事前準備
インテークでご利用者の主訴を聞き取り信頼関係を築くには、訪問前の準備が大切です。
しっかりと準備しておくことで、面接当日の対応に余裕が生まれます。
まずは依頼があった時点で、利用者様の氏名や連絡先、相談概要などの基本情報を確認します。また、契約後にご本人の同意を得てから取得するケースも多いですが「主治医意見書」や「診療情報提供書」なども事前に預かっている場合は、目を通しておきましょう。
そして、当日に慌てないよう、以下の持ち物を事前に揃えておきます。
リストを作成し、指差し確認するのがおすすめです。
- 名刺、身分証、介護支援専門員証
- 事業所のパンフレット
- フェイスシート(聞き取り用のシート)
- 契約書、重要事項説明書、個人情報使用同意書(一式)
- 筆記用具、朱肉、印鑑マット
- 近隣の地図や地域の社会資源に関する資料
これらの物品の準備とあわせて、事前に得た情報から「特に確認したいこと」をメモしておくと、聞き漏らしを防ぎ、スムーズな面談につながります。

STEP2:自己紹介とアイスブレイク
訪問当日は自己紹介とアイスブレイクから始まります。
ここでの第一印象が、今後の信頼関係を大きく左右すると言っても過言ではありません。
名刺をお渡ししながら「本日担当させていただく〇〇と申します。どうぞよろしくお願いいたします」と簡潔に述べるだけでも好印象につながります。
その後すぐに本題に入るのではなく、以下のような緊張を和らげる会話を挟むと良いでしょう。
- 今日はお天気が良くて、お出かけ日和ですね
- 玄関のお花、きれいに手入れされていますね
- お住まいは長いんですか?
利用者様の自宅にある置物や、訪問までの道のりにあったものに触れてみるのもおすすめです。
日常に関する軽い話題で相手の表情を観察しつつ、和やかな空気を作るのがポイントです。
こうした短いやりとりが「この人は話しやすい」という安心感につながります。
第一印象が良好であれば、その後の質問もスムーズに進められます。

STEP3:ヒアリングと傾聴
場の空気が和んだら、いよいよ本題のヒアリングに移ります。
ヒアリングは質問ではなく傾聴が中心です。
まずは「お話を記録するためにメモを取ってもよろしいでしょうか」と許可を得ましょう。
そして、守秘義務があることを伝え、安心して話せる環境を整えます。
ヒアリングのコツは、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの2種類の質問を使い分けることです。
オープンクエスチョン | 相手が自由に話せる質問気持ちや背景を深く知りたい時に有効 例:「お困りごとについて、詳しく教えていただけますか?」など |
クローズドクエスチョン | 「はい/いいえ」や、短い言葉で答えられる質問・事実確認や、話の要点をまとめたい時に使用 例:「サービス利用は希望されますか?」など |
基本はオープンクエスチョンでじっくり話を聴き、要所でクローズドクエスチョンを挟んで情報を整理するイメージです。
相手の話を遮らず、沈黙を恐れずに待つ姿勢が、深い信頼関係につながります。

【そのまま使える】インテークで確認すべき質問項目リスト
ここでは、インテークで「何を聞けばいいかわからない」という悩みに応える、具体的な質問項目をリスト形式で紹介します。
フェイスシートを作成する際にも活用できるので、リストを埋めるだけではなく、対話のきっかけとしてご活用ください。
利用者の基本情報と生活状況に関する質問
インテークで確認すべきなのが、利用者様の基本情報と生活状況です。
これらの質問は会話の導入としても自然に入りやすく、信頼関係の構築にもつながります。
- 氏名、住所、連絡先、生年月日、緊急連絡先
- ご家族の構成やキーパーソン
- 相談に至った経緯
- 1日の過ごし方
- 趣味や楽しみ、大切にしていること、地域での役割や人とのつながり
ただ順番に質問するだけではなく「どのようなことに困っていますか?」「具体的にはどんな場面で不便を感じますか?」と掘り下げていくことが重要です。
丁寧に聴き取り、利用者様の生活全体をイメージできるよう努めましょう。
ADL・IADLと心身の状況に関する質問
インテークでは、利用者様の生活機能や健康状態を確認し、どのような支援が必要かの見立てにつなげていきます。
- 自宅で過ごすなかで一番困っていること
- 食事:自力で食べているか、調理はどうしているか
- 入浴:頻度や介護の程度
- 排泄:トイレの頻度、失禁の有無、必要物品など
- 更衣:介助の程度
- 移動:屋内と屋外の移動方法
- 買い物:誰がしているか
- 洗濯・掃除:日常の家事はどの程度おこなえている
- 現在治療中の病気や持病
- お薬の服用状況(自己管理できているか)
- 物忘れや判断力の低下は感じられるか
- 最近の気分や体調
日常生活のどのようなことに困っているかを確認していくことが大切です。
利用者・家族の意向や希望(ニーズ)に関する質問
インテークでは、ケアプランの方向性を定めるため、ご利用者様やご家族が「今後どのように暮らしたいか」「どのような支援を望んでいるか」といった意向を把握するよう努めます。
- 今後どのような生活を望まれているか
- ご自宅での生活を続けたいと考えているか
- ご家族として、どのような支援があると助かるか
- 介護サービスに対して不安に思っていることはあるか
- どのようなサービスを希望するか
- ケアマネに期待することはあるか
「できれば〜したい」「本音ではこう思っている」といった発言が出やすいタイミングでもあるため、表情や口調の変化にも注意を払いながら、ていねいに聴きとれるとよいでしょう。
まとめ
本記事では、インテークの目的やアセスメントとの違い、面談当日の流れ、そして確認すべき質問項目を具体的に紹介しました。
インテークの目的は単なる情報収集ではなく、利用者様との信頼関係を築くことです。
インテークに苦手意識があっても、この記事を参考に質の高いケアの第一歩を踏み出しましょう。
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ケアマネのインテークに関するFAQ
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