居宅介護支援事業所は、在宅介護を支える「司令塔」ともいえる存在です。

利用者様が住み慣れた自宅で安心して暮らし続けるために、ケアマネジャーが中心となってサービス全体を組み立て、調整します。
利用者様の人生を支える計画を立てるため、とてもやりがいのある仕事です。ケアマネジャーの就職先として最も一般的な選択肢である一方、施設ケアマネとは働き方や求められる役割が大きく異なるのも事実です。
「居宅ケアマネの仕事は実際どうなのか」「自分に向いているのか」と悩む方も多いと聞きます。

この記事では、居宅介護支援事業所の役割や具体的な仕事内容、施設ケアマネと地域包括支援センターとの違いまで、ケアマネで働こうと考えている方・現役ケアマネの方に向けて分かりやすく解説します。

この記事の要点まとめ
  • 居宅介護支援事業所は在宅介護の「司令塔」。身体介助は行わず、ケアプラン作成や関係各所との調整を通じて利用者様の生活を支える専門職です。
  • 施設ケアマネと違い「夜勤なし・土日休み」が基本。地域包括支援センターよりも、要介護者一人ひとりに長期的に深く寄り添えるのが特徴です。
  • 令和6年の法改正で標準担当件数が「35件→44件」へ緩和。ICT活用等による業務効率化が進んでおり、キャリアアップを目指す環境として注目されています。

居宅介護支援事業所とは?(定義と役割)

居宅介護支援事業所の定義

居宅介護支援事業所とは、都道府県の指定を受け、ケアマネジャー(介護支援専門員)が配置されている事業所のことです。

要介護認定を受けた方が、在宅で適切な介護サービスを利用できるよう支援します。
介護現場で直接身体介助を行うことはなく、調整・判断・書類作成を通じて生活を支える専門職といえます。

また、ケアプラン作成にかかる費用は、原則全額介護保険で賄われるため、利用者様の負担はありません。

ケアマネジャーという職種についての基本は、以下の記事で詳しく解説されています。
参考:ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?【ケア人材バンク】

居宅介護支援事業所の役割

最大の役割は、在宅生活を送る高齢者と介護サービスをつなぐ「在宅介護の窓口」になることです。

利用者様・ご家族の希望を踏まえながら、訪問介護やデイサービスなどのサービスを適切に組み合わせ、自宅で自立した生活が送れるようにサポートし、生活全体を支えます。

主なサービス内容

居宅介護支援事業所が提供する主な業務は以下の通りです。

居宅介護支援事業所の業務
  • ケアプラン(居宅サービス計画)の作成
  • 利用者様やご家族からの介護に関する相談対応
  • 介護サービス事業者・行政との連絡・調整
  • サービス担当者会議の開催・運営
  • 心身の状態や生活環境の把握(アセスメント)
  • 介護サービス開始後のモニタリング(状況確認・評価)
  • ケアプランの見直し・変更
  • 介護保険の給付管理(給付管理票の作成・提出)
  • 要介護認定の申請代行・更新支援

居宅ケアマネジャーの具体的な仕事内容と流れ 

居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーの業務は、以下の流れで進みます。

STEP 1
インテーク(初回面接)
初回の聞き取り・信頼関係づくり。
悩みや希望をヒアリングします。
STEP 2
アセスメント(課題分析)
生活全体を把握・分析。
「何が必要か」を明確にします。
STEP 3
ケアプラン作成
サービス計画書の原案を作成。
長期・短期目標を設定します。
STEP 4
サービス担当者会議
関係者を集めて会議を開催。
チーム全員で認識を統一します。
STEP 5(毎月)
モニタリング(訪問)
月1回自宅を訪問し状況確認。
必要に応じてプランを見直します。
STEP 6(月末月初)
給付管理(事務作業)
国保連への請求データ作成。
デスクワーク中心の業務です。

インテーク(初回面接)

利用者や家族と初めて面談し、これまでの生活歴や困りごと、希望を丁寧にヒアリングします。最初の「聞き取り・受付・状況把握」を行うことをインテークと言います。

インテークの目的
  • 利用者様の困りごとや希望を正確に知る
  • 介護保険サービスが必要か、どんな支援が合いそうか判断する
  • 今後の支援(ケアプラン作成)につなげる
インテークのポイント(大事な考え方)
  • 結論を急がない
  • 否定せず、傾聴する
  • 本人の思いを中心に考える
  • 家族の負担や想いも含めて考える
  • 中立な立場で対応し、自身の価値観の偏りに気をつける

インテークは「調査」ではなく、信頼関係づくりの第一歩です
この段階での信頼関係づくりが、その後の支援を左右します。

参考:ケアマネのインテークについて【ケア人材バンク】

アセスメント(課題分析)

心身状況、生活環境、家族背景などを総合的に把握し、課題を整理します。
表面的な要望だけでなく、「その人がどんな生活をしていて、何に困っていて、どんな支援が必要かを総合的に把握すること」を読み取る力が求められます

アセスメントが必要な理由
  • 利用者様が合っていない介護サービスを選ばないため
  • 住み慣れた自宅や地域で安全に、その人らしく暮らせるようにするため
  • ケアプラン(介護計画)を作る土台になるため

アセスメントは利用者様の、生活全体を理解すること、身体や精神面、生活、家族、利用者様や支援者の想いを見ていく必要があります。
良いケアプランを作るためには、アセスメントは非常に重要です。

参考:ケアマネ向けアセスメントシートの書き方【ケア人材バンク】

ケアプラン(居宅サービス計画)作成

アセスメント結果をもとに、ケアプラン原案を作成します。
利用者様が自宅で安心して生活するために利用者様やご家族の意向に沿った介護サービス計画書を作ることが重要です。
訪問介護、デイサービス、福祉用具などを組み合わせ、無理のない生活設計を考えます。

ケアプラン作成の目的
  • 利用者様やご家族が生活する上で困っていることを解決するため
  • 必要な介護サービスを無駄なく・無理なく使うため
  • 介護保険サービスを使うために必ず必要で、ケアプランを通して支援の方法を利用者様やご家族・事業所などと連携し共有するため。

「長期目標」「短期目標」「サービス内容」を具体的に達成・支援可能な範囲で作成し、誰が見ても利用者様のケアプランと分かるようにすることが重要です
パソコンのソフトなどで、最近は他の利用者様と同じようなプランを簡単に作成することもできますが、同じ病気でも、背景にある環境は1人1人違います。

そこを理解した上で、ケアプランを作成するように意識していくことが重要です。

サービス担当者会議

利用者様・ご家族、サービス事業者(訪問介護、デイサービス等)を集めて担当者会議を開催します。多職種の意見を調整し、合意形成を図る重要な場となります。

サービス担当者会議の目的
  • ケアプランの内容が達成可能か、無理のない範囲であるか、実施状況はどうかなどを確認するため
  • 利用者様のの状態やご家族の希望等を関係者で共有するため
  • 利用者様やご家族の考えとサービス提供者の考えや支援内容にズレが出ないようにするため

担当者会議の司会・進行はケアマネが実施します
忙しい中で、利用者様や各担当事業者の方は集まっているので、話し合う内容や進行の仕方は事前にシミュレーションをして臨むことが重要です
話し合う論点がズレないように、スムーズに進めていく必要があります。

参考:サービス担当者会議のマニュアル【ケア人材バンク】

モニタリング(月1回の訪問)

原則月1回、利用者様宅を訪問し、サービス内容や生活状況を確認します。
変化があればケアプランを見直し、柔軟に対応します。

モニタリングの目的
  • サービスが形だけになっていないか、ケアプラン通りにサービスが滞りなく実施されているかを確認するため
  • 利用者様の状態は日々変わるため、サービス内容の変更を常に視野に入れる必要があるから
  • 問題を早く見つけて、サービスの方向性を修正するため

モニタリングで大切なことは、利用者様の小さな変化を見逃さないことです
直接会いに行き、表情や顔色、声のトーン、ご家族との関係、家庭の環境などの状況や状態を把握することが重要です。
事業者からも日々、報告が入りますが、実際に自分の目で利用者様の状況を確かめる必要があります。

また、利用者様が「これがしたい」という想いは、難しい内容でもしっかりと傾聴し、その想いを大切にして、支援する必要があります

給付管理(レセプト)

月末月初にする事務作業で、介護保険サービスを正しく使ったかを確認し、保険者に請求データを送る仕事となります。

給付管理が必要な理由
  • 介護保険のお金を正しく使い、必要な報酬を各事業所に渡すため
  • サービス事業所が適正に報酬を受け取るため
  • 不正請求や請求ミスを防ぐため

請求ミスが起こると、その月の事業所の収益が入らなくなってしまうため、正確に報告することとパソコンスキルが求められます

参考:ケアマネに必要なパソコンスキルは?【ケア人材バンク】

【比較】施設ケアマネ、地域包括との違い 

居宅ケアマネ、施設ケアマネ、地域包括支援センターのケアマネは、「ケアプランを作成する」という点は同じですが、それぞれ働き方、主な業務が違います。

施設ケアマネとの違い(特養・老健など)

居宅ケアマネ施設ケアマネ
対象在宅生活者入所者
主な業務訪問、調整、連携施設内調整、業務兼務あり
働き方外出が多い、基本的に日勤夜勤、介護業務兼務もあり
スキル・地域資源を把握する情報収集力
・サービス事業所・医療関係者との交渉や連携力
・ご家族の思いや事情をくみ取る傾聴力
・スケジュール・業務管理能力
・施設方針を理解したケアプラン作成力
・介護・看護・栄養・リハ職との連携力
・利用者様の日々の生活を把握し、職員から情報を聴き出す情報収集力
・記録・監査対応スキル
居宅ケアマネと施設ケアマネの違い

施設では生活相談員や介護業務を兼務するケースもありますが、居宅介護支援事業所ではケアマネ業務に専念できる点が特徴です。

施設ケアマネは、基本的に施設の中での勤務になりますが、居宅ケアマネは、利用者様の自宅に訪問することがメインとなるため、外出が多いです。
訪問するための移動手段は、車や自転車、バイク等を使うところが多く、事業所のある地域によっては、運転が必須のところがあったり、自転車に乗れないと業務に支障がでることもあるので、居宅ケアマネとして働く場合は外出時の移動手段を確認しておくとよいでしょう
施設ケアマネは、通院介助等で利用者様を乗せて運転する必要があるか、入所前の契約訪問がある場合、運転は必須か等も確認しておくとよいでしょう。

参考:施設ケアマネと居宅ケアマネの違いは?【ケア人材バンク】

地域包括支援センターとの違い

居宅ケアマネ地域包括のケアマネ
対象者主に要介護認定者要支援認定者担当地区にお住まいの高齢者全般
主な業務要介護認定者のケアプラン作成・要支援認定者のケアプラン作成
・総合相談・介護予防・権利擁護 等
働き方外出が多い、基本的に日勤、土日休みが多い
必要なスキル、特徴等・担当している利用者様に深く関わる
・地域資源を把握する情報収集力
・サービス事業所・医療関係者との交渉や連携力
・ご家族の思いや事情をくみ取る傾聴力
・スケジュール・業務管理能力
・多くの利用者様を適切な支援に繋ぐ
・公的性格が強い・分野を超えた幅広い他機関、居宅ケアマネ等との連携
・地域支援者との連携
・センター内の他の職種との連携
・地域資源の把握、活用

居宅介護支援事業所のケアマネは主に要介護者を対象にするのに対し、地域包括支援センターは、主に要支援者や地域住民全体の総合相談を担います

公的性格が強く、介護予防や権利擁護など、より広い視点での支援が特徴です。
地域資源を活用しながら、利用者様が要介護状態にならないような支援が必要です。
元気な高齢者を増やし、社会保障費を削減するためにも重要な役割を担っています。

参考:🔗ケアマネジャーが地域包括で働くには?【ケア人材バンク】

居宅介護支援事業所で働くメリット・デメリット 

どのような仕事でも、メリット・デメリットがあるように、居宅介護支援事業所で働く場合もメリット・デメリットがあります。

メリット(やりがい)

居宅介護支援事業所で働くメリットには以下のようなことが考えられます。

  • 利用者様の生活を長期的に支えられる
  • 日勤のみ・土日休みなどワークライフバランスが取りやすい
  • 身体介助がなく、体力的負担が少ない

居宅介護支援事業所のケアマネは、介護が必要になっても「住み慣れた自宅で生活を続けたい」そのような利用者様、ご家族の気持ちに寄り添い、長期的に利用者様の生活をチームの司令塔となり支えることができるとてもやりがいのある仕事です

また、日勤のみの居宅介護支援事業所が多く、土日休みであるため、子育て中の方も働きやすいです
日勤帯のみで夜勤がないこと、身体介護をすることがないので、身体的負担は、介護職員と比べ少ないです

デメリット(大変な点)

居宅介護支援事業所で働くデメリットには以下のようなことが考えられます。

  • 判断を1人で背負う場面があり、精神的負担が大きい
  • ケアプラン・給付管理など書類業務が多い
  • クレーム対応や緊急時対応が発生することもある
  • 特定事業所加算を取っている事業所は、休日夜間に電話対応しないといけない場合がある

ケアマネは基本的に、1人の利用者様を1人のケアマネが担当するため、1人で判断したり、対応しないといけない場面もあります。

また、国の定めた運営基準を満たすための事務作業が多いこと、クレーム対応や緊急時対応が発生すること、事業所によっては、夜間、休日に持ち回りの電話を持たないといけないこともあったりと、精神的な負担は大きいです。

しかし、居宅介護支援事業所には、ケアマネを支援する主任ケアマネが配置されているため、主任ケアマネに困ったときに相談することができます
相談のしやすさは事業所にもよるので、働く先を選ぶ際は、相談しやすい環境であるか、ケアマネ同士の連携等も確認しましょう。

給与水準については、以下の記事もご参考ください。
参考:ケアマネジャーの平均年収はいくら?【ケア人材バンク】

居宅介護支援事業所の人員基準・働くための要件 

居宅介護支援事業所で働くために必要な要件、どのような人員配置がされているかを紹介します。

必要資格

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)資格
  • 働く地域によっては、普通自動車免許

人員基準の概要

居宅介護支援事業所の人員基準(令和6年度改正対応)

職員配置の基準

原則: ケアマネジャー1人につき利用者 44人 まで
※令和6年(2024年)4月の介護報酬改定により、従来の「35人」から大幅に緩和されました。

ICT活用等の場合: 最大 49人 まで
※「ケアプランデータ連携システムの活用」かつ「事務職員の配置」がある場合。

管理者: 主任介護支援専門員

ケアマネは「1事業所にケアマネを何人配置しないといけない」という基準はありません。
ケアマネが不足していたら、利用者様の受け入れを停止し、上限を超えないように調整しています。

キャリアアップについては以下の記事もご参考ください。
参考:ケアマネジャーのキャリアアッププラン【ケア人材バンク】

居宅介護支援事業所についてのよくある質問 FAQ

居宅介護支援事業所とはどのような施設ですか?

居宅介護支援事業所とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が配置され、要介護認定を受けた方が自宅で適切な介護サービスを利用できるよう支援する「在宅介護の司令塔」となる事業所です。

主な役割は、利用者様の希望に沿ったケアプランの作成、介護サービス事業者や行政との連絡・調整、給付管理など多岐にわたります。
介護現場での直接的な身体介助は行わず、調整・判断・書類作成を通じて生活を支える専門職です。

居宅ケアマネと施設ケアマネの主な違いは何ですか?

最も大きな違いは「勤務場所」と「働き方」にあります。

居宅ケアマネは在宅生活者を対象とし、利用者宅への訪問や地域資源との連携が中心で、基本的に「夜勤なし・日勤帯・土日休み」の勤務形態です。
一方、施設ケアマネは入所者を対象に施設内での調整を行い、施設によっては夜勤や介護業務を兼務する場合があります。

居宅ケアマネは外出が多く、移動手段として車や自転車の運転スキルが求められるのも特徴です。

ケアマネジャー1人あたりの担当件数に上限はありますか?

令和6年(2024年)4月の介護報酬改定により、ケアマネジャー1人あたりの標準的な担当件数は従来の35件から「44件」まで緩和されました。

さらに、ケアプランデータ連携システムの活用や事務職員の配置など、ICT活用による業務効率化を図っている事業所においては、最大「49件」まで担当することが可能です。

居宅介護支援事業所を利用する際、利用者側の費用負担はありますか?

ケアプラン(居宅サービス計画)の作成にかかる費用は、原則として全額が介護保険で賄われるため、利用者様の自己負担はありません。

相談やケアプラン作成、要介護認定の申請代行などのサービスを無料で受けることができます。

居宅ケアマネの主な仕事の流れを教えてください。

業務は以下の6つのステップで進行します。

  1. インテーク:初回面談での悩みや希望のヒアリング。
  2. アセスメント:心身状況や生活環境の課題分析。
  3. ケアプラン作成:サービス計画書の原案作成。
  4. サービス担当者会議:関係者間での合意形成と調整。
  5. モニタリング:月1回以上の自宅訪問による状況確認。
  6. 給付管理:月末月初に行う保険者への請求事務作業。

まとめ:自分に合った事業所を探すならプロに相談

いかがでしたか?居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーとしての専門性を最大限に発揮できる、非常にやりがいのある職場です。
一方で、以下のようなことを自分で探すことは大変かもしれません。

  • 独立型か併設型か
  • 特定事業所加算を取得しているか
  • ICT化が進んでいるか

など、事業所ごとに働きやすさや教育体制、給与条件は大きく異なります。
多くの求人がある中で、自身に合った職場を選ぶのは大変で、時間も要します。

求人票だけでは分からない内部事情を知りたい場合は、ケアマネ専門の転職支援サービス「ケア人材バンク」を活用するのがおすすめです。
エージェントが希望を聞き、条件に合った居宅介護支援事業所を提案し、転職をサポートします。

✨ 気になったらSNSシェア ✨

※当サイトの情報は、掲載時点での情報に基づいています。また、情報の正確性、最新性を保証するものではありません。