ケアマネとして働いていると「この先どんなキャリアを築けるのか」「もっとスキルアップするにはどうすれば良いか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ケアマネの具体的なキャリアパスについて解説します。
主任ケアマネや認定ケアマネへの道筋、必要な研修やスキル、給料事情など、キャリアに関する悩みや将来への不安を解決するヒントになるため、ぜひ最後までお読みください。
目次
ケアマネのキャリアアップの必要性と現状
ケアマネを取り巻く環境は、高齢化や介護ニーズの増加によって常に変化しています。
ここでは、なぜ今キャリアアップが必要とされるのか、そしてケアマネが直面している現状と課題について解説します。
なぜ今、ケアマネのキャリアアップが重要なのか?
日本の急速な高齢化で介護サービスの需要は増え続け、質の高いケアマネジメントを提供できる専門職への期待は高まっています。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる今後は、医療や介護へのニーズはさらに複雑化していくでしょう。
その一方で、ケアマネ自身も高齢化が進んでいます。
介護労働安定センターが行っている調査によると、ケアマネの平均年齢は53.6歳で、40歳未満はわずかに7.6%と少なく、将来的な人手不足も懸念される状況です。
地域包括ケアシステムでの役割も増す中、このように増大する需要と、担い手確保という課題に応えていくためには、ケアマネ一人ひとりのスキルアップ、そしてキャリアアップがより大切になります。
出典:令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書(介護労働安定センター)
ケアマネの現状と課題
日々の業務では、ケアプラン作成以外にも多くの書類作成や、ときには本来業務ではない「シャドウワーク」と呼ばれる対応に追われ、利用者様と向き合う時間が十分に確保しづらくなっています。
加えて、合格率が低い試験や5年ごとの更新研修など、資格の取得・維持にかかる負担も少なくありません。
責任の重さや業務量に見合った報酬が得られていないと感じる人もおり、これらの課題が複合的に絡み合い、離職を考える一因ともなっています。
キャリアアップがもたらすメリット
主任ケアマネや認定ケアマネといった上位資格を取得することで、より専門的な知識やスキルが身につくだけでなく、以下のようなメリットがあります。
- 困難事例への対応力
- 後輩への指導力
- 給料アップ
- 管理者への昇進
責任ある立場を経験することは、仕事へのやりがいを高め、自身の成長を実感することにもつながります。
将来的には、独立開業したり研修講師として活躍したりするなど、多様な働き方を選択できる可能性も広がります。
キャリアアップの道:主任ケアマネと認定ケアマネ
ケアマネとしてさらにキャリアを積みステップアップする手段として、主任ケアマネジャーと認定ケアマネジャーがあります。
それぞれの役割や資格要件、キャリアへの影響について見ていきましょう。
主任ケアマネとは?役割と資格要件
主任ケアマネは、ケアマネの指導や育成を担うリーダー的な存在として位置づけられており、以下のような役割が求められています。
- 後輩への助言
- 困難事例への対応支援
- 医療機関などとの連携強化
- 地域ケア会議での中心的役割
居宅介護支援事業所の管理者になるには、原則としてこの資格が必要です。
資格取得には、ケアマネとして5年以上の実務経験と、都道府県が実施する主任ケアマネ研修の修了が求められ、5年ごとの更新も必要になります。
なお、主任ケアマネの要件・なり方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
認定ケアマネの取得と専門性の向上
認定ケアマネは、日本ケアマネジメント学会が認定する民間資格であり、ケアマネジメントの高い実践能力や専門性を持っていることを客観的に証明するものです。
資格を取得する過程で自身のスキルアップにつながるだけでなく、主任ケアマネ研修を受ける際に必要な実務経験が5年から3年に短縮されるメリットもあります。
取得には、ケアマネとして3年以上の実務経験と、学会が実施する認定試験への合格が必要となり、5年ごとの更新が求められます。
それぞれの資格がキャリアにどう影響するか
主任ケアマネは、居宅介護支援事業所の管理者や施設長など、管理職へのキャリアパスを開くうえで重要です。
役職に就くことで給料アップも期待でき、独立開業する際にも必要となる場合があります。
一方、認定ケアマネ資格は、高度な実践スキルを持つ専門家であることの証明となり、転職時に有利に働く可能性があります。
主任ケアマネへのステップアップ期間を短縮できる点も魅力と言えるでしょう。
どちらの資格も専門性を高め、キャリアの選択肢を広げることに繋がります。
このように、主任ケアマネや認定ケアマネの資格は、キャリアの可能性を広げる上で重要な意味を持ちます。
それぞれの役割や取得メリットをしっかり理解しておくことが、自身のキャリアプランを考える上で大切になるでしょう。
キャリアアップと給料:年収を上げるには
ケアマネとして働くうえで、キャリアアップが給料にどう結びつくのかは気になるところでしょう。
ここでは資格取得や役職による収入の変化、具体的な給料アップの方法、そして転職時の注意点について解説していきます。
資格取得による手当、役職の変化は?
主任ケアマネの資格を取得すると、多くの職場で資格手当が上乗せされます。
また、この資格は管理者などの役職に就くことにも繋がりやすく、役職手当や基本給の上昇によって、さらなる収入増が期待できます。
日本総合研究所の研究によると、ケアマネの平均年収は250万円から400万円程度の方が多く、主任ケアマネの年収は300万円から450万円程度の方が多いです。
主任ケアマネの資格を持ち、さらに管理者のような役職に就くことで、年収はより一層増加する傾向があります。
経験や勤務先の状況も影響しますが、主任ケアマネになり管理職を目指すことは、収入アップへの道筋のひとつと言えるでしょう。
出典:令和5年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業 介護支援専門員の養成に関する調査研究事業報告書(日本総合研究所)
給料アップのための具体的な行動
給料アップのためには、まずは経験を積むことが大切です。
そのうえで、主任ケアマネなどの上位資格を取得すれば、資格手当や昇進のチャンスが広がります。
リーダーや管理者といった役職を目指すことも、収入を増やす有効な手段と言えるでしょう。
また、現在の職場で昇給が見込めない場合は、より待遇の良い職場への転職も選択肢になります。
その他、専門性を磨いたり、独立や副業に挑戦したりする道もあります。
- ケアマネジャーとしての経験を積む
- 上位資格「主任ケアマネジャー」「認定ケアマネジャー」を取得する
- 管理職やリーダーなどの役職に就く
- より待遇の良い職場へ転職する
転職を考える際に意識すべきポイント
給料アップを目指して転職する際は、求人票に書かれている額面給与だけでなく、以下の点も確認しましょう。
- 資格手当
- 処遇改善加算
- 研修費補助の有無
- 教育制度
- 介護兼務の有無
- 担当のご利用者数
- ケアプラン数
- 認定調査の有無
基本給や賞与はもちろん、資格手当や処遇改善加算がケアマネにもきちんと支給されるか確認することが大切です。
また、給与以外の労働環境、例えば研修制度の充実度や業務の負担、キャリアパスが明確かなども重要な判断材料となります。
業務の面でも、担当するご利用者の人数や作成するケアプランの数、認定調査の対応があるかどうかも確認できると良いでしょう。
自分の希望に合う施設が探せないという方は、転職エージェントを活用するのもひとつの方法です。
ケアマネとしての将来性とキャリアパス
ケアマネの仕事は将来どうなるのでしょうか。
ここでは今後の役割の変化と、多様なキャリアパスの可能性について解説します。
今後の介護業界におけるケアマネの役割
高齢化で介護ニーズが増え複雑化する中、ケアマネの需要は今後ますます高まります。
現時点では資格廃止の心配はなく、むしろ質の高い人材が求められています。
地域包括ケアシステムの要として多職種連携を進め、認知症ケア等の専門性を深めることが期待されるでしょう。
AIに代替されにくい一方、ICT活用能力も重要になります。
学び続けることで、将来も活躍の場は広がると言えます。
多様なキャリアパスの可能性やキャリアアップ例
ケアマネとしての経験はキャリアの可能性を広げます。
ここでは、代表的なキャリアパスの方向性と具体的なステップアップの例を紹介します。
ケアマネ→主任ケアマネ→施設管理者
ケアマネとして経験を積み、主任ケアマネの資格を取得することで、管理職への道が見えてきます。
例えば、居宅介護支援事業所の管理者や、特別養護老人ホームなどの施設長を目指すキャリアパスです。
事業所の運営やスタッフのマネジメントを担い、リーダーシップを発揮します。
多くの場合、責任に応じた役職手当などが支給され、収入アップにも繋がります。
ケアマネ→主任ケアマネ→地域包括支援センター
ケアマネの経験を活かし、地域包括支援センターで活躍する道もあります。
地域包括支援センターでは、地域の高齢者の総合相談や介護予防ケアマネジメントなどを担当します。
主任ケアマネの配置が求められているため、資格を持っていると転職に有利になるでしょう。
個別のケアプラン作成だけでなく、地域全体の介護予防や福祉の向上に貢献でき、行政と連携する機会も増えるなど、より広い視野で活動できる点が魅力です。
ケアマネ→主任ケアマネ→独立開業
経験と実績を積んだ後、主任ケアマネの資格を活かして独立開業する道も選択肢のひとつです。
自身で居宅介護支援事業所を立ち上げ、管理者兼ケアマネとして事業を運営します。
経営の知識や営業力も必要になりますが、自分の理念に基づいたケアマネジメントを追求できるという大きなやりがいがあります。
事業が軌道に乗れば収入アップも期待でき、さらに研修講師など活動の幅を広げる人もいます。

まとめ
ケアマネの仕事は、キャリアアップによって活躍の場が大きく広がります。
主任ケアマネや認定ケアマネを目指す道、管理職や特定分野の専門家になる道、独立開業する道など、選択肢は多様です。
資格取得や経験を積むことは、給料アップにも繋がります。
この記事を参考に、ご自身のキャリアプランを具体的に描き、スキルアップやより良い職場探しなど、前向きな一歩を踏み出すきっかけとしてください。
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