サービス担当者会議は、ケアマネジャーにとって重要な業務の一つです。

本記事では、サービス担当者会議の目的や参加者の役割から、準備・進行・議事録作成の方法、欠席時の照会依頼文例まで、実務で役立つ情報をまとめました。

実際に使える司会進行の台本例や議事録テンプレートも掲載しているので、今日からすぐに活用できます

この記事の要点まとめ
  • サービス担当者会議でのケアマネはみんなの意見を聞き出すまとめ役
  • ケアマネの準備から当日・会議後までの流れを具体的に示し、司会進行のコツや台本例も紹介
  • 効率的な議事録の書き方やすぐに使える照会依頼文の例を紹介

サービス担当者会議とは?開催の目的と参加者の役割

サービス担当者会議とは、介護保険制度において要介護認定を受けた利用者のケアプランを適切に作成・実行するために開かれる会議のことです
ケアマネを中心に、医師・看護師・介護職員・リハビリ専門職などが一堂に会し、利用者やその家族も交えて話し合います。

会議の目的は、単に介護サービスの種類を決めることだけではありません。
利用者の生活の質を高め、可能な限り自立した暮らしを実現するために、どのような支援が最適かを多職種で共有し、役割分担を明確にすることにあります
医療・介護・福祉の専門職がそれぞれの視点から情報を出し合い、利用者にとって本当に必要なサービスを見極める話し合いこそが、この会議の大きな意義といえるでしょう。

ケアマネは進行役として会議全体を調整し、利用者本人や家族は生活の希望や困りごとを率直に伝える役割を担い、各専門職はそれぞれの知見や支援の方向性を提示し、チームとしての合意形成を図ります

このように目的と役割を明確にした話し合いが行われることで、利用者一人ひとりに合った質の高い介護サービス計画書(ケアプラン)が完成するのです。

ケアマネが進行する担当者会議の様子

サービス担当者会議の基本的な流れと進め方

サービス担当者会議をスムーズに進めるためには、当日の話し合いだけでなく、事前準備から一連の流れを理解しておくことが大切です。

会議は大きく「準備段階」「会議当日」「会議後のフォロー」という3つのステップに分かれます。

準備段階

会議を開催するにあたり、まずケアマネが利用者や家族の意向をヒアリングします

併せて、診療情報や介護事業所からの報告書を集め、課題を整理した上で会議の開催日程を調整します。
参加者に事前資料を共有しておくことで、当日の話し合いがスムーズになるでしょう

さらに、利用者や家族の意向をふまえた暫定的な介護サービス計画書を作成します。

会議当日

会議では、暫定の介護サービス計画書を配布し、利用者の心身の状況や生活課題について共有した上で改めて目標を設定します。
その上で、それぞれの専門職が支援方法を提案し、利用者や家族の意向を反映しながらケアプランを組み立てていきます。

参加者全員の意見を引き出しつつ、話題が偏らないよう調整・進行するのが、ケアマネの役割です。

会議後のフォロー

会議終了後は、決定した内容をもとに正式な介護サービス計画書を作成します。
さらに、サービス開始後には定期的にモニタリングを行い、必要に応じて再度会議を開くこともあります。

このように継続的な見直しによって、利用者の状況変化に柔軟に対応できるサービスが提供できるのです。

段階主な流れケアマネの役割
準備段階・利用者・家族の意向確認
・診療情報や各事業所からの報告書、アセスメントシート、モニタリングシートの準備と分析
・会議日程調整
・暫定介護サービス計画書の作成
会議当日・利用者の状況確認・課題の共有
・支援方法の検討・ケアプラン方向性の決定
・司会進行
・全参加者の情報提供と意見交換
会議後・ケアプラン作成
・サービス開始
・定期的なモニタリングと必要に応じた再会議
・介護サービス計画書の作成
・サービスの実施状況の確認
・サービス内容の見直し
サービス担当者会議の流れ(時系列表)

サービス担当者会議は、利用者の「望む暮らし」を実現するために、多職種が連携して支援の方向性を決める重要な機会です。

準備から当日、その後のフォローアップまで一連の流れを理解し、目的と役割を意識して臨むことで、有意義なサービス担当者会議が実施できるでしょう。

会議を円滑に進める司会進行のコツと台本例

サービス担当者会議では、ケアマネが会議の進行役を担います。

初めての司会は「話をまとめられるか不安」「沈黙が続いたらどうしよう」と緊張するものです。

しかし、事前に流れを理解し、進行のコツを押さえておけば、会議をスムーズに導くことができます

ここでは、実際の現場で役立つポイントと台本の一例を紹介します

会議進行のコツ

会議を滞りなく進めるためには、いくつかのポイントを意識することが大切です。

まず、冒頭で「会議の目的」と「本日の流れ」を明確に伝えましょう。
参加者がゴールを理解できれば、発言が整理されやすくなり、会議全体の方向性もぶれにくくなります。

次に大切なのは「発言のバランスを取ること」です。

医師や専門職の意見が中心になりやすい場面では、利用者や家族が遠慮してしまうことがあります。
そこで、ケアマネが意識的に「ご本人の思いを聞かせていただけますか」「ご家族から見て困っていることはありますか」と声をかけることで、多角的な視点を引き出すことが大切です。

また、会議が長引くと参加者の集中力が途切れてしまいます。
各議題にかける時間をあらかじめ目安として伝えておくと、効率的に進みます

最後は、必ず決定事項を整理してから会議を終えることが大切です。
誰がどの役割を担うのかが明確になれば、会議の成果が実際のケアプランに反映されやすくなります。

司会進行の台本例

実際の現場で活用できる、標準的な進行の流れをイメージできるように台本例を作成しました。ぜひ参考にしてみてください。

1.開会とあいさつ

「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。これから〇〇さんのサービス担当者会議を始めさせていただきます。本日の目的は、現在の生活状況を共有し、今後のケアプランの方向性を決定することです。」

2.自己紹介と参加者確認

「まずは私から自己紹介させていただきます。本日の進行を担当するケアマネの△△です。では順番に、自己紹介をお願いします。」

3.利用者・家族からの発言

「それでは、〇〇さんやご家族から、普段の生活で感じていることや希望をお聞かせください。」

4.各専門職からの情報提供

「次に、主治医の先生からお話をお願いします。その後、訪問介護・デイサービス・リハビリと順にご意見をいただければと思います。」

5.支援内容の検討と方向性の確認

「皆さまのご意見を踏まえて、今後の支援の方向性を整理します。まずはケアプランの目標について合意をいただきたいと思います。」

6.決定事項の確認と役割分担

「本日の会議で決定した内容を確認いたします。訪問介護については△△事業所が担当、デイサービスは□□事業所が継続、リハビリは週2回で調整ということでよろしいでしょうか。」

7.閉会のあいさつ

「本日は貴重なご意見をいただきありがとうございました。本日の内容をもとにケアプランを作成し、改めてご説明いたします。これで会議を終了いたします。」

このような流れを基本形として押さえておけば、初めての司会でも安心して会議を進められます。

重要なのは「目的を明確に」「参加者全員の意見を引き出す」「最後に決定事項を整理する」という3つのポイントを押さえることです。

【文例・テンプレート】効率的な担当者会議の議事録の書き方

サービス担当者会議の議事録は、「サービス担当者会議の要点」にまとめるのが一般的です。
※書式に指定はありません

会議内容を記録するだけでなく、参加者全員が合意した支援方針を確認する重要な資料となります
モニタリング時にも利用するため、正確性と分かりやすさが必要です。

しかし、会議後に一から文章を作成すると時間がかかり、ケアマネの業務負担になります。
効率的に仕上げるためには、あらかじめ書き方のルールを押さえ、使いやすいテンプレートを活用することが効果的です

効率的な議事録のまとめ方・ポイント

議事録作成の基本は「誰が・何を・どのように決めたのか」を明確に残すことです。

会議全体を逐一文字起こしする必要はなく、利用者の現状・参加者の発言・合意事項の3点を押さえましょう

さらに、会議中は直接メモを取り、会議終了後すぐに整理すれば記憶も新しく効率的にまとめられます。
文体は「です・ます」よりも「である調」を用いることで簡潔にまとめられ、読みやすさも向上します。

また、参加者の同意がとれるようであれば、録音させていただくのも一つの手です。

サービス担当者会議の議事録(記入例)

「サービス担当者会議の要点」の書式に合わせて、「検討した項目」「検討内容」「結論」「残された課題」に分けて記載しましょう。

記入例は以下の通りです。

項目記入例
検討した項目①日常生活における身体機能の低下への対応
②家族の介護負担の軽減方法
③今後の通所サービス利用回数の調整
検討内容①主治医より、下肢筋力低下が見られるため、リハビリの継続が望ましいとの意見。リハビリ担当者からは、転倒予防のために歩行訓練と筋力維持プログラムを提案。
②家族からは、調理や入浴介助の負担が大きいとの要望があり、訪問介護の増回について意見交換。訪問介護事業所からは週1回追加派遣が可能との報告。
③デイサービス事業所からは、週2回から週3回への利用増回が可能との説明。ただし送迎時間については事前調整が必要。
結論➀訪問介護は週2回から週3回に増回する。
②デイサービスは週2回から週3回へ増やし、機能訓練を強化する。
③転倒予防のため、歩行補助具の利用も検討を開始する。
残された課題・福祉用具の具体的な種類と導入時期については、次回会議で検討する。
・送迎時間の詳細調整をデイサービス事業所と家族で行い、決定後にケアマネへ報告する。
・次回会議は〇月〇日に開催予定。

検討した項目には番号を振っておくことで、検討内容や結論と照らし合わせて確認しやすくなります。

また、サービスのポイントや次回のサービス担当者会議のときに参考にできるため、残された課題は詳細に記載しておきましょう。

サービス担当者会議の要点に関しては、ケアプラン作成ソフトや各市区町村のホームページや、厚生労働省の「サービス担当者会議の要点」などからダウンロードできます。

参加者の欠席・中止の判断と「照会(依頼)文書」の対応方法

厚生労働省が定める「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」では、サービス担当者会議に参加できない関係者がいる場合、ケアマネからの「照会(依頼)」に回答することで出席に代えることが認められています

欠席する事業所が判明した際は、事業所の担当者に対して照会文書を送付しましょう。
担当者はそれに回答し、返送することで会議に参加したのと同等の扱いとなります。

そのため、照会文書が届いた場合にはできるだけ早めに返信し、会議の準備が滞らないよう協力を依頼しましょう。

ケース別に紹介依頼の例文を作成していますので、参考にしてみてください。

サービス担当者会議の日程調整依頼

サービス担当者会議の日程調整の依頼と、照会の案内をするときは以下の例文を参考にしてみてください。

令和〇年〇月〇日

AAAAA介護センター山田花子様

サービス担当者会議日程のご相談

平素よりお世話になっております。
〇〇様のサービス担当者会議を下記候補日で開催したく存じます。
お忙しいところ恐縮ですが、ご都合の良い日をお知らせください。
会議は約1時間を予定しております。

【候補日】
・〇月〇日(〇)〇:〇〜
・〇月〇日(〇)〇:〇〜
・〇月〇日(〇)〇:〇〜

【開催場所】
〇〇様ご自宅

もし日程調整が難しい場合は、照会にて対応させていただきます。

サービス担当者への照会依頼(欠席時)

サービス担当者会議の欠席者(事業所)に、照会の案内をするときは以下の例文を参考にしてみてください。

令和〇年〇月〇日

AAAAA介護センター山田花子様

サービス担当者会議の照会依頼

いつもお世話になっております。
〇〇様のサービス担当者会議を開催予定ですが、日程の都合によりご欠席とのご連絡をいただきました。
つきましては、別紙の照会文書にご記入のうえ、〇月〇日までにFAXまたは郵送にてご返信いただけますと幸いです。会議ではいただいた内容を共有させていただきます。

・サービス担当者に対する照会(依頼)1部

サービス担当者会議中止のお知らせ(照会対応)

なにかしらの理由により、サービス担当者会議が開催できず、照会のみで対応する場合は、以下の例文を参考にしてみてください。

令和〇年〇月〇日

AAAAA介護センター山田花子様

会議中止と照会依頼のお願い

平素より大変お世話になっております。
〇〇様の居宅サービス計画について、本来は担当者会議を開催する予定でしたが、日程の調整がつかず、やむを得ず照会による確認とさせていただきます。
お手数ですが、同封の照会用紙にご記入いただき、〇月〇日までにご返信くださいますようお願いいたします。

・サービス担当者に対する照会(依頼)1部

ケアマネの悩み解決!担当者会議に関するQ&A

サービス担当者会議についてケアマネからよくある質問を集めました。
ひとつずつ回答します。

担当者会議は必ず必要ですか?

サービスの開始や変更の前には実施する必要があります。

現状の把握や今後の意向確認、サービス事業所からの課題整理などの目的があり、会議で話あった結果を介護サービス計画書に反映させるためです。

サービス担当者会議とは、何のために行うのですか?

ケアマネジャーが中心となり、利用者さんご本人やご家族、各サービス事業所の担当者などが集まって、最適な介護サービス計画(ケアプラン)を作成・共有するために行います。

利用者さんの現状や希望を皆で確認し、専門的な視点から意見交換することで、より良い支援内容を決定することが目的です。

サービス担当者会議には誰が参加するのですか?

利用者さんとそのご家族、担当のケアマネジャー、そして実際にサービスを提供する事業所の担当者(訪問介護、デイサービス、福祉用具など)が主な参加者です。必要に応じて、主治医や地域の関係者が参加することもあります。

サービス担当者会議は何分ぐらいですか?

概ね、30~60分程度で行うのが一般的です。
長くなりすぎると集中力も切れ、話が脱線することもあるため、適度に時間調整をしましょう。

また、利用者や家族の負担にもなりかねません。目的を共有し、スムーズな会議を実施することもケアマネの役割です。

会議の準備では、具体的に何をすればよいですか?

まず、利用者さんやご家族と面談して現状の課題や希望を整理します。
次に、参加者の日程を調整し、会議の開催を案内します。

事前に各事業所から意見を聞いておく(照会)ことや、当日の議題をまとめた資料を作成しておくことも、スムーズな進行のために重要です。

会議当日の司会進行で気をつけることは何ですか?

まず会議の目的と時間配分を最初に全員で共有することが大切です。
参加者全員が平等に発言できるよう気を配り、話が脱線しないように調整します。
最後に、会議で決まったことや、今後の各担当者の役割分担を明確に確認することが重要です。

サービス担当者会議の議事録(第4表)は、なぜ必要ですか?

会議で話し合われた内容や決定事項を正式な記録として残し、関係者全員で共有するために必要です。
誰が、いつ、どのような内容で合意したのかを明確にすることで、その後の支援がスムーズに進み、ケアプランの根拠にもなります。

まとめ

サービス担当者会議は、利用者の生活の質を高めるために多職種が集まり、支援の方向性を話し合う大切な場です。
ケアマネにとっては、準備・進行・議事録作成・照会対応といった多くの業務を担う重要な役割があります

担当者会議は、ケアマネが中心となり、利用者や家族の声を反映させ、各専門職の知見を結集し目標やサービスを定めるのが目的です。

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