児発管のモニタリング報告書の書き方でお悩みの方向け。

本記事では、個別支援計画の評価から、具体的な記入項目、すぐに使える例文までを徹底解説。減算を防ぎ、質の高い報告書を作成するコツを徹底解説します

目次

この記事の要点まとめ
  • 児童発達支援管理責任者のモニタリング報告書の具体的なポイントと書き方が分かります。
  • 減算対象にならないモニタリング報告書の作成方法を解説しています。
  • 失敗例を基に、適切なモニタリング報告書の記入例を紹介しています。

児発管のモニタリングとは?児発管に求められる役割と目的

放課後等デイサービスにて行われるモニタリングとは、作成された「個別支援計画」に基づいた支援が適切に実施されているかを確認し、その効果を評価するためのプロセスです。

モニタリングを行うことで、支援の質の向上や、進捗の評価、お子様ご本人や保護者の方のニーズの再確認を行うことが目的とされています。

継続的な評価と見直し(PDCAサイクル)を行うことで、現場のスタッフにも共通認識で支援方針を伝えることができる、重要な役割と目的があります

個別支援計画を見直すための「定期的な健康診断」

モニタリングは、個別支援計画で立てた支援の方針がお子様ご本人や保護者の方のニーズと相違がないか、方向性が間違っていないかを確認するための、いわば「健康診断です。

支援がうまくいっていない場合や、他に優先して解決したい困りごとがある場合は、目標自体の見直しを検討する必要があります。

なぜモニタリングが必要?ガイドライン上の根拠と減算リスク

放課後等デイサービスでは概ね6か月に1回以上のモニタリングの実施が義務付けられています

ただし、子どもや家庭の状況に変化があった場合は、6か月を待たずに実施する必要があります。

作成したモニタリング報告書は適切に保管する必要があり、正しい期間でモニタリングが行われていないと運営指導や監査での減算の対象になるため、注意が必要です。

アセスメント・個別支援計画・モニタリングのつながり

6か月に1度の面談で作成するのはモニタリングの記録だけではありません。
アセスメントで現状の把握を行い、個別支援計画で目標や支援方針の設定、そしてモニタリングで進捗や効果の評価と、三つが密接に関連し、連続したサイクルで成り立っています

いずれかが欠けては適切なモニタリング報告書を作成することができません。

モニタリング報告書を書く前の「準備」が8割

準備なしでモニタリング報告書を書くことは非常に難しく、効果的な結論を出すことも困難になります。

事前の情報収集や日頃からの記録を参考にして準備を行うことで、モニタリング報告書はぐっと書きやすくなり、精度も高まります。

日々の支援記録から客観的な情報を集める 

モニタリングでは、6か月間の子ども本人の成長や、どのような課題につまづいているか、家庭や学校とは違う様子などを保護者の方に伝える必要があります

それらを客観的な視点で具体的に伝えるためには、日々の記録や申し送りが欠かせません。

モニタリング前には支援記録を見返し、スムーズにお子様ご本人の成長や日々の様子をご家族に伝えられるように準備をしておきましょう。

保護者面談で必ず確認すべき4つのこと

モニタリングで確認すべきポイントは複数ありますが、その中でも必ず抑えておくべきポイントが4つあります。 

モニタリングの4つのポイント
  1. 支援目標
    個別支援計画に記載されている支援目標の見直しを行います。
    発達状況や現在の困りごと、ニーズなどに合わせて、6か月間で達成できそうな目標の設定を行います。
  2. 達成状況
    立てていた目標を達成できたか、未達成だったか、目標や支援内容を変更する必要があるかを、保護者の方と振り返りながら再確認を行います。
  3. 支援内容の効果
    日々の療育の中で効果的だった支援内容や、現在行っている支援が本人にどのような影響を与えているかを、成長が分かるエピソードを交えて報告します。
  4. 今後の支援方針
    現在の状況を踏まえながら、今後の支援方針を保護者の方とともに決定します。
    成長とともに新たに増えた課題や不安が無いかを確認し、スタッフ間でも支援方針がブレないように共有しましょう。

スタッフ間での情報共有とカンファレンスの進め方

モニタリングで知り得た情報は、現場のスタッフにも共有し、支援の方向性を揃えることが大切です。
特にカンファレンス(サービス担当者会議)では、スタッフの意見も取り入れながら、個別支援計画に反映していきます

 【項目別】モニタリング報告書の具体的な書き方とポイント 

ポイントを押さえてモニタリングを行うことで、モニタリング報告書を具体的に書くことができ、スタッフが読んでもイメージがしやすくなります。

書き方のポイントをいくつかご紹介します。

個別支援計画の目標に対する「達成度・評価」 

モニタリングでは、個別支援計画で立てた目標の振り返りを行います。

抑えるべきポイントは以下の通りです。

モニタリングの振り返り 4つのポイント
  • 目標ごとに評価は「達成・一部達成・未達成」の3段階で整理する
  • 数字や回数を入れて、できるだけ定量的に表現する。
    (例:二桁の筆算ができるようになった。ちょうちょ結びが3回に1回程度成功するようになった、など)
  • 未達成でも、成長や変化が見られる行動は必ず評価して記載する。
  • 評価は「できた/できない」だけでなく、「本人の興味や得意分野が伸びたこと」も含める

目標はもちろん達成するのが望ましいですが、仮に未達成だった場合でも「ここまではできるようになった」「今は数字よりも文字の方が興味が強く、文字学習を優先して伸ばしている」といった形で前向きな変化を伝えることが大切です。

評価の「客観的な根拠・具体的なエピソード」

評価を行う際は、主観的にならないように気をつけつつ、事実に基づいたエピソードを記録することが重要です。

  • 「頑張っていた」など抽象的な表現は避けて「◯◯ができるようになった」など具体的に記録する
  • 他スタッフの観察記録や保護者・学校から得た情報も引用して、客観性を高める。
  • 保護者面談の際は、必要に応じて「他の児童にも同様の傾向が見られる」ことを口頭で伝えると安心に繋がる。

このように事実ベースにまとめることで、報告書の信頼性が増し、保護者の方や関係機関にも納得してもらいやすくなります。

サービス提供期間中の「本人の様子の変化」 

成長以外にも、環境の変化などで本人の様子に変化が現れることがあります。

そうした成長や変化も、モニタリング報告書には必ず記載しましょう。

  • 前回のモニタリングから今回までで「できるようになったこと」「変化が見られたこと」を記録する
  • 良い変化だけでなく、「新たに出てきた課題」も明示する
  • 「家庭」「学校」「事業所」など場面ごとの違いがあれば盛り込む

こうした変化を丁寧に記録することで、保護者の方に成長以外の新しい気付きを客観的に伝えられます
また、報告書に明確に残しておくことで、スタッフ間の情報共有が進み、次回の個別支援計画の修正にも役立ちます。

今後の「課題」と支援方針の「見直し・修正案」

モニタリングを通して目標の達成や評価を確認したあとは、今後の課題に対する支援方針を見直し、必要に応じて修正を行います。

  • 現在の発達状況に適した目標・課題を再設定する。
  • 現在の課題に対して、支援方針が適切かどうかを振り返り、必要に応じて修正する。
  • 保護者の方の心配事や要望を丁寧にヒアリングし、方針に反映させる。
  • 学校や関係機関との連携内容も明記すると、修正の根拠が明確になる。

課題や方針をそのままにせず、モニタリングを通して定期的に見直しを行うことは、支援の質を高めるうえで欠かせません。

これはガイドライン上でも求められており、記録が不十分だと減算の対象になる可能性もあります。

現状の評価→課題の整理→方針の修正という流れを意識することで、モニタリング報告書がより実効性のあるものになります

【ケース別】そのまま使えるモニタリング報告書の例文集

例文1:目標を達成できた場合の書き方(肯定的な変化) 

ただ目標を達成できたことだけでなく、どうして達成ができたか、達成はできているが、苦手としている部分や引き続きフォローが必要な部分はあるか、などを記載すると成長の変化が分かりやすいです。

到達目標達成度現状・要因の分析ご意見今後の対応


ひらがなを50音書けるようになる。
達成全て書けるようになった。文字に興味を持ち、他の児童が学習に取り組んでいる様子から刺激を受けて、意欲的にプリント学習に取り組んでいた。一部バランスが崩れやすい文字(あ・を等)は引き続き練習を行う書けるようになって嬉しそうにしている。引き続き支援をお願いしたい。興味に合わせつつ、単語や拗音などの練習も行う。

例文2:目標は未達だが成長が見られた場合の書き方 

目標達成ができていなくても、その中でお子様ご本人がどのような部分に努力や変化、成長が見られたかを記載すると、理解が深まりやすくなります。

到達目標達成度現状・要因の分析ご意見今後の対応
文章問題に慣れる。一部達成未だ苦手意識はあるが、分からないときは「教えて下さい」とヘルプを出すことができるようになっている。以前に比べ、宿題中の離席率も減ってきている。テストでも文章問題は間違えていることが多いので、フォローをお願いしたい。継続。引き続き短い文章から練習を行い、スローステップで文章題に慣れる。

例文3:環境の変化で計画修正が必要になった場合の書き方 

環境の変化がある場合、保護者の方にも予想できない様子が見られることがあります。

そういった場合は、無理に目標達成をしようとするのではなく、必要な支援をこちらから提案するのも良いでしょう。

到達目標達成度現状・要因の分析ご意見今後の対応
苦手科目の学習支援を行う。未達成進級に伴い、6時間授業が増えたことから疲れやいらだちが見られる。宿題にも時間がかかるため、宿題後はリラックスや気持ちの発散を優先して取り組んでいる。家でも帰宅すると夕食前に寝てしまうことがある。できる範囲で学習支援をお願いしたい。本人の体力などに留意しつつ、可能な範囲で学習支援を行う。

例文4:保護者の意向を踏まえて目標を再設定する場合の書き方 

目標が未達成でも、保護者の方の意向や、お子様ご本人の現在の状況を踏まえて、目標を再設定することも必要です。

到達目標達成度現状・要因の分析ご意見今後の対応
勝ち負けのある遊びでも友人と仲良く遊ぶ
一部達成
仲良く遊ぶこともできるが、勝負事に負けそうなときは途中で投げ出したり、ズルをして勝とうとすることがある。学校でトラブルが増えているので、気持ちのコントロールができるようになってほしい。アンガーマネジメントを通し、適切に表現したり気持ちを切り替えることができるように支援する。

これはNG!モニタリング報告書でやりがちな失敗例 

ここからは、ついやってしまいがちなモニタリング報告書の失敗例をご紹介します。

失敗例1.主観が強く、ネガティブな表現で評価している。

課題に対して、冷たい印象を与えがちな文章は、信頼関係にも影響しかねません。できるだけポジティブな表現で書くことが理想的です。

気を付けたい表現として、以下に例を記載いたします。

例)モニタリング報告書の表現×
  • 「集中力が無く、宿題の計算ミスも多い」
  • 「声が大きく、部屋でのルールを守れない」
例)モニタリング報告書の表現〇
  • 「集中することが苦手で、ケアレスミスをしやすい。パーテーションを用意し、集中できる環境の提案を行っている。」
  • 「楽しくなると、声の大きさのコントロールが難しくなるため、都度適切な声の大きさを提示している。」

失敗例2.修正や今後の対応が書かれていない

現状だけが書かれて、今後の方向性が書かれていないのもNGです。具体的な表現で対応方法の記載を行いましょう。

気を付けたい表現として、以下に例を記載いたします。

例)モニタリング報告書の表現×
  • 「勝負に負けると、癇癪(かんしゃく)を起こすことがある」
例)モニタリング報告書の表現〇
  • 「思うようにいかなくて癇癪を起こしたときは、クールダウンできる場所へ移動する。」
  • 「落ち着いてから言葉で気持ちを伝えるように、促しや気持ちの代弁を行う。」

失敗例3.曖昧な表現を使う

曖昧な表現や主観的な表現は、読み手によって解釈が異なったり、イメージがしづらくなるため注意が必要です。誰が読んでも同じ解釈ができるよう、具体的な表現を心がけましょう。

気を付けたい表現として、以下に例を記載いたします。

例)モニタリング報告書の表現×
  • 「きちんとできるようになる」
  • 「少しできるようになった」
例)モニタリング報告書の表現〇
  • 「30分間は離席をせずに、取り組めるようになることを目指す。」
  • 「言葉で要求を伝えられるようになる」

よくある質問FAQ

児童発達支援のモニタリングとは、何のために行うのですか?

モニタリングは、提供している支援がお子さんの状況やニーズに合っているかを確認し、必要に応じて個別支援計画を見直すために行います。

計画通りにサービスが提供されているか、お子さんや保護者の満足度はどうかを定期的に評価することで、支援の質を維持・向上させることが一番の目的です。

モニタリングは、どのくらいの頻度で行う必要がありますか?

少なくとも6ヶ月に1回以上行うことが義務付けられています(放課後等デイサービスの場合は3ヶ月に1回以上)。

これは法令で定められた最低基準であり、お子さんの状況の変化に応じて、より短い期間で見直しを行うことも重要です。

モニタリングでは、具体的にどのようなことを確認すれば良いですか?

個別支援計画に定めた目標の達成度や、提供されている支援内容が適切かどうかを確認します。

具体的には、お子さんの発達状況の変化、サービスの利用状況、保護者の意向などを面談でヒアリングし、客観的な評価を行います。

モニタリングの結果、個別支援計画の変更は必ず必要ですか?

必ずしも毎回変更が必要なわけではありません。 モニタリングの結果、計画が順調に進んでいると判断されれば、計画を継続することになります。

重要なのは、変更が必要ないと判断した場合でも、その理由をモニタリング報告書に明確に記録しておくことです。

モニタリング報告書は、誰が作成し、誰に交付する必要がありますか?

モニタリング報告書は、児童発達支援管理責任者(児発管)が作成します。
そして、その内容を保護者に説明し、同意を得た上で交付(お渡し)する必要があります。
これは保護者との情報共有と合意形成のために不可欠なプロセスです。

 まとめ

放課後等デイサービスで必ず作成が求められるモニタリング報告書、その書き方のポイントを紹介しました。

事前の準備を整え、押さえるべき項目を意識して記載することで、減算を防ぎつつ、保護者の方や現場スタッフにも分かりやすいモニタリング報告書をスムーズに作成できます

また、ケア人材バンクでは他にも児発管向けの役立つ記事を多数掲載しているほか、児発管向けの転職支援サービスも行っています。

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